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さいたま市よりお越しのAさんのケース
「階段を降りるときに膝が痛くて…」
そう話してくださったのは、さいたま市からお越しのAさん。
特に気になるのは、
・朝の動き始め
・座った後の一歩目
・階段の下り
最初の動きでズキッとする感覚があり、
「膝が悪くなっているのでは」と不安を感じて来院されました。
ですが、お身体の状態を確認していくと、
必ずしも強い損傷や深刻な異常があるわけではありませんでした。
ここには少し別の視点が関係している可能性があります。
膝の痛み、こんな場面で気になっていませんか?
階段の上り下りで膝がズキッとする。
立ち上がる瞬間に違和感が走る。
「動き始めが一番つらい」
そんな感覚、ありませんか。
日常の中で避けにくい動作だからこそ、不安を感じやすいものです。
まずお伝えしたいのは、これはとてもよくある状態だということです。
よくある誤解:「膝がすり減っているから痛い?」
膝の痛みというと、
「軟骨がすり減っている」
「関節が変形している」
といったイメージが強いかもしれません。
確かに、こうした構造的な変化が関係することもあります。
ただ、少し意外かもしれませんが
画像で見える変化と、実際の痛みの強さは必ずしも一致しません。
臨床でも、
変形があってもほとんど痛みがない方もいれば、
画像上は軽度でも強い痛みを感じる方もいらっしゃいます。
この点について、
The discordance between clinical and radiographic knee osteoarthritis という系統レビューでは、
膝の変形(X線所見)と痛みの関係は、
弱〜中程度の関連にとどまると整理されています。
つまり、
構造の変化だけで痛みを説明することは難しい、
という傾向が示唆されています。
もちろん、この研究も
・評価方法の違い
・主観的な痛みの個人差
といった限界はあります。
それでも臨床的には、
「見た目以上に痛い」あるいは「見た目ほど痛くない」
というケースが珍しくないことを裏付ける内容といえます。
ここで一度、視点を少し広げてみてください。
痛みは「形の問題」だけでなく、
別の要素も関わっている可能性がある、
そう考えると、次の理解がしやすくなります。
関節のセンサー(固有受容器)の働きが乱れている可能性
膝の関節には、
固有受容器というセンサーがあります。
これは関節の位置や動き、負荷を感じ取る役割を担っています。
この働きが少し乱れると、
・動き始め
・階段のような負荷がかかる場面
で、違和感や痛みを感じやすくなります。

固有受容器はWykeによって分類されています。
代表的なものは
・TypeⅠ
・TypeⅡ
・TypeⅢ
・TypeⅣ
です。
これらの受容器は
関節の動き
圧力
伸張
などを感知し、筋肉の働きを調整しています。
臨床でよく見るパターン
Aさんも含め、よく見られる特徴として
・最初の一歩だけ痛い
・動いていると軽くなる
・日によって変わる
といった傾向があります。
これは、関節が壊れているというより
「固有受容器というセンサーの一時的な不具合」が影響している状態と考えられます。
研究からのヒント
膝関節の固有受容感覚の低下は、
痛みや機能低下と関連する可能性が示唆されています(Sharma et al., 1997)。
ただし、研究には個人差や評価方法の限界もあり、
これだけで全てを説明できるわけではありません。
それでも臨床的には、
固有受容器(センサー)を整えることで変化が見られるケースは少なくありません。
大丈夫です、整えていくことは可能です
Aさんも、動き方や感覚を少しずつ調整していくことで、
階段動作の不安は軽減していきました。
無理に強い負荷をかける必要はありません。
「正しく感じて、ゆっくり動く」
この積み重ねが変化につながります。
今日からできる小さな一歩
・ゆっくり立ち上がる
・膝の動きを感じながら動く
・無理のない範囲で繰り返す
それだけでも十分なスタートになります。
まとめ
膝の痛みが階段や動き始めで出るとき、
それは構造だけでなく
関節の固有受容器の働きの乱れが関係していることもあります。
この視点を持つことで、
改善への方向性はより明確になります。
ご相談について
「自分の膝も同じ状態なのか気になる」
そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。
膝の痛みは、
単に安静にするだけではなく、
動きや感覚のバランスを整えることで変化していくケースも多くあります。
当院では、痛みのある部分だけでなく、
関節の動き方や感覚の状態を丁寧に確認しながら施術を行っています。
強い刺激を加えるのではなく、
無理のない範囲で調整していくことを大切にしています。
「この程度で相談していいのかな」
という段階でも問題ありません。
一度、お身体の状態を整理することで、
不安が軽くなることもあります。





