椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは

椎間板とは

椎間板は脊柱(背骨)を構成する組織で、椎体と椎体の間にあり、上下の椎体を連結する役割があります。椎間板は内部の髄核と外側の線維輪からなり、内部の髄核は水分の多いゼリー状の組織、外部の線維輪は線維軟骨で形成されています。

椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアとは、背骨にあるクッションの役割をしている椎間板が主に後方に脱出し、脊髄神経を圧迫してしびれや坐骨神経痛を起こす病気とされています。

頚椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアがありますが、稀に胸椎椎間板ヘルニアも見られます。

椎間板ヘルニアのイラスト
椎間板ヘルニアのイラスト

飛び出した椎間板が脊髄神経や馬尾神経を圧迫することにより激しい痛みやしびれ、脱力などの症状を引き起こすと言われていますが、最も多い原因は筋肉の過緊張によって起こる筋筋膜性疼痛症候群(筋膜性疼痛症候群)です。

筋筋膜性疼痛症候群とは簡単に説明すると筋肉の中にある痛みセンサー(ポリモーダル受容器)が興奮した状態です。

下肢の痛み、しびれ、感覚異常、可動域障害などがありますが、その多くは筋肉の過緊張からであり、興奮した痛みセンサーを沈静化すれば症状は無くなっていくことが多いです。

しかし、生活しがたいぐらいの激痛、サドル麻痺(自転車のサドルが当たる場所の感覚消失など)や排尿排便障害(排尿困難、残尿感、尿失禁、便失禁)が出現した場合は手術の適応となります。

手術中のイラスト

椎間板ヘルニア犯人説について

椎間板ヘルニアは今まで腰痛やしびれの主な原因として扱われてきました。

およそ100年前の1911年、Goldthwaitが最初に「椎間板の突出が坐骨神経痛を引き起こし得る。」と考え、1934年MixterとBarrの発表から腰椎椎間板ヘルニアの手術が世の中に広まり、それが現在も定説とされてるのはご存知の通りです。

しかし、今だに100年も前の古い仮説を医療関係者や腰痛やしびれで悩んでいる方も信じている方が多いようです。

確かに、レントゲンやMRIの画像を見せられ、「神経を圧迫しているから痛みが起こっている。」と説明されれば納得してしまいますよね。

しかし、「神経を圧迫して痛みが発生する」

この説明には無理があるのです。生理学者はそのようには言っていません。

例えば熊澤孝朗先生(名古屋大学名誉教授)は著書「痛みを知る」にて次のように述べています。

「神経線維は通常、その末端にある受容器からの信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりするようなことはありません。」

書籍:痛みを知る

また、横田敏勝先生(滋賀医科大学名誉教授)は著書「臨床医のための痛みのメカニズム」にて次のように述べています。

神経痛一般の発生機序

痛覚線維の生理的興奮は、その末梢の自由終末にある痛覚受容器(侵害受容器)が刺激されたときにみられる。

自由終末と脊髄を継ぐ部分からインパルスが発生することはめったにない。

痛覚受容器を介さずに神経線維からインパルスが発生することを異所性興奮という。異所性興奮を生じる可能性が高いのは、脱髄部および傷害された末梢神経の側芽と神経腫である。

神経根痛

脊髄後根を圧迫すると神経根痛(radicular pain)がでて、圧迫された後根の支配領域に痛みが走るとみられている。しかし、この考えは特別な場合にしか通用しない。

たとえば、脱髄線維を含む脊髄後根への機械刺激は神経根痛を誘発するが、正常な脊髄神経根の圧迫は痛みを生じない。

実験動物の正常な脊髄後根を圧迫しても、痛みを伝える侵害受容線維を含めた求心性線維の持続的発射活動は誘発されない。しかし、あらかじめ傷害しておいた脊髄後根を機械刺激すると、持続的なスパイク発射が誘発される。

バルーンカテーテルを使って正常人の脊髄神経根を圧迫すると、錯感覚(paresthesia)と感覚鈍麻が誘発されるが痛みはでない。

正常な脊髄後根を牽引しても痛くない。しかし、傷害歴のある脊髄神経根を鑷子で圧迫したり、縫合糸をかけて牽引したりすると、特徴的な神経根痛が走る。Kuslichら(1991)は、局所麻酔下に椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症の減圧手術を受けた患者193例を対象にして、局所麻酔薬を次第に追加しながらいろいろな組織を刺激したときに誘発される感覚を調べた。正常な脊髄神経根に触れても痛みはなかった。

臨床医のための痛みのメカニズム 

と、ちょっと専門的でわかりづらかったかもしれませんが、

要約すると

「神経痛一般の発生機序」は感覚のやり取りは電気信号で行われており、途中の神経線維が興奮することは滅多になく、途中の神経線維が興奮することを異所性興奮(異所性発火)と言うが、生じる可能性が高いのは傷がついた場所と再生途中の神経、ということです。

「神経根痛」は脊髄の根本を圧迫すると神経痛が発生すると考えられているが、特別な場合にしかなく。傷ついた神経や傷害歴のある神経を圧迫すると電気信号が発生して痛みを生じるが、正常な神経を圧迫しても痛みは生じなかった、

というものです。

更にゲートコントロール説で有名なPatric Wall氏は著書「疼痛学序説」にて次のように述べています。

「腰痛の原因は椎間板ヘルニアであると、ふつう信じられている。椎間円板は椎骨の間から突出して、感覚線維を含む脊髄後根を圧迫すると信じられている。椎間板ヘルニアはX線写真で見ることができる。

そして、人口の1~3%に存在する。

椎間板ヘルニアの頻度は、痛みをもつ人たちともたない人たちで同じである。椎間板ヘルニアがあって痛みをもつ人々が、外科手術以外の方法で治療されると椎間円板の突出した部分は消えたり、消えなかったりする。しかしこれは、まだ痛いか、それとも痛くないかに関係しない。

椎間円板の役割について外科医の混乱は、突出した椎間円板を取り除く手術の割合が、国によって大きく異なることに反映されている。

10年前に、10万人当たり、英国で100人、スウェーデンで200人、フィンランドで350人、米国で900人であった。

この割合は現在下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。不利益を受けたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。」

書籍:疼痛学序説 

神経を圧迫して起こるのは麻痺であり、痛みやしびれではありません。

腰痛未経験者の腰をMRI撮影したら8割近くに腰椎椎間板ヘルニアが見つかったとの論文もあります。

NHKの「ためしてガッテン」でも椎間板ヘルニアは腰痛の犯人ではないと放送していますし、考え方はとてもゆっくりですが、確実に変わりはじめています。

まとめると

  1. 症状のない方でもMRI撮影すると椎間板ヘルニアは普通に見られる
  2. 画像所見と臨床症状は一致しないことが多い
  3. 生理学者は圧迫したり牽引したりしても痛みは生じないと言っている

ということになりますね。
ではどこがそのような症状を発生させているのかですが、生理学の熊澤孝朗先生は
著書「痛みを知る」で筋肉が痛みを起こすことが多いと述べています。

皆さんはこんな悩みはありませんか?

  1. 腰やお尻、太ももやすね、ふくらはぎにかけてがとても痛い
  2. 長時間座っていたり、立っていると症状が強くなる
  3. 痛みのために歩くが大変
  4. 足の触った感覚が鈍かったり、足に力が入りづらかったりする・足の筋肉が細くなってきたような気がする
  5. コルセットや湿布、痛み止めが手放せない
  6. 現在受けている治療が痛いので、全く痛くない治療を探している

痛みを長期間放っておくと、痛みそのものが病気の状態「慢性痛症」になってしまうことがあります。
そうならないためにも、痛みはなるべく早く改善することをお勧めします。

当院では椎間板ヘルニアの改善方法を提案できます。

体の痛みは様々な原因で発生します。自己判断はせず、なるべく専門家の指示を
仰ぎましょう。

あなたは今の状態に満足していますか?

痛みなどの症状は様々な原因で発生します。
自己判断はせずに必ず専門家の指示を仰ぎましょう。

おおしま接骨院では独自の施術法や気功、ヒプノセラピー、カウンセリングなどを駆使し、悩みの根本的な解決を目指しています。