
「それほど無理をした覚えはないのに、急に強く痛くなった」
「少し前までは動けていたのに、ある日突然、痛くて動けなくなった」
こうした経験をすると、
「どこかが大きく壊れてしまったのでは?」
と不安になると思います。
しかし、痛みの強さと、身体の問題の大きさは必ずしも一致しません。
私たちの身体には、入ってきた痛みの情報をそのまま感じるだけではなく、状況に応じて痛みを強めたり弱めたりする仕組みがあります。
その一つが「下行性疼痛抑制系(かこうせいとうつうよくせいけい)」と呼ばれる仕組みです。
身体には「痛みを抑える仕組み」があります
痛みというと、ケガをした場所から痛みの信号が脳へ送られ、その強さをそのまま感じているように思うかもしれません。
実際には、もう少し複雑です。
脳から脊髄へ向かう神経の働きによって、痛みの情報は途中で調整されています。
これを「下行性疼痛調節系(かこうせいとうつうちょうせいけい)」といい、その中には痛みを抑える働きもあります。
こうした仕組みは、筋骨格系の痛みや慢性痛を理解するうえでも重要だと考えられています。
たとえば、大事な予定があるとき、試合や仕事など何かに集中しているときには、身体に違和感があってもあまり気にならなかった経験はないでしょうか。
反対に、集中していたイベントが終わったあと、ホッとした途端に疲労や痛みを強く感じることもあります。
これは「気のせい」という意味ではありません。
注意、緊張、感情、周囲の状況などによって、神経系が痛みの情報を調節しているためです。
緊張がほどけたあとに痛みを強く感じることもあります
長時間集中していたり、緊張した状態が続いたりすると、その間は痛みが比較的表面に出にくいことがあります。
ところが、そのイベントが終わって緊張状態が変化すると、それまであまり意識されなかった身体の痛みを急に強く感じる場合があります。
さらに、しばらく活動量が減っていたところへ、
- 急に運動を再開する
- 練習量を一気に戻す
- 強度の高い運動をする
- 長時間身体を使う
といった負荷が加われば、今の身体が耐えられる範囲を一時的に超えて、強い痛みが出ることがあります。
つまり、
「急に強く痛くなった=その瞬間に身体が大きく壊れた」
とは限らないのです。
レントゲンで「異常なし」でも、痛みがないとは限りません
強い痛みがあると、整形外科などでレントゲン検査を受けることがあります。
レントゲンは骨折や明らかな骨の変化を確認するのに有用ですが、筋肉や関節機能の評価には限界があります。
また、腫瘍や感染症などは症状や経過に応じて、追加検査が必要になることがあります。
したがって、
「レントゲンで異常が見つからなかった」ことと、「痛みの原因が何もない」ことは同じではありません。
レントゲンで大きな骨の異常が確認されなかったことは、一つの安心材料です。
その一方で、筋肉の状態や関節の動き、身体の使い方、運動負荷などについては、実際に身体を動かしながら確認しなければ分からないことがあります。
痛みが強いからといって我慢する必要もありません
「大きなケガとは限らないなら、痛くても我慢して運動すればいい」
という意味でもありません。
強い痛みが出たときには、まず状態を確認することが大切です。
特に、
- 大きな外傷があった
- 急激に腫れてきた
- 明らかな筋力低下がある
- 感覚が大きく変化している
- 発熱や全身状態の変化がある
- 痛みが時間とともに強くなっている
などの場合には、必要に応じて医療機関で詳しい検査を受ける必要があります。
そのうえで危険な原因が考えにくければ、「今どれくらいなら動けるのか」を確認しながら、少しずつ活動量を戻していきます。
「痛い=壊れている」だけではありません
痛みは、身体からの大切な警告です。
しかし、その警告音の大きさは、必ずしも身体の問題の大きさだけで決まっているわけではありません。
身体には痛みを抑えたり調整したりする仕組みがあり、その働きは状況によって変化します。
慢性痛を持つ子どもや若年者では、こうした内因性の疼痛抑制機能が弱くなっている可能性を示した研究もあります。
だからこそ大切なのは、
「痛みが強いから重症だ」と決めつけることでも、
「画像に異常がないから何でもない」と決めつけることでもありません。
身体の状態、運動量、痛みが出る動作、これまでの経過などを一つずつ確認しながら、今起きていることを整理していくことが大切です。
強い痛みがあって不安なときほど、身体で何が起きているのかを理解することが、安心して活動へ戻るための第一歩になります。
強い痛みが続いているのに「レントゲンでは異常なし」と言われ、不安を感じている方もいらっしゃると思います。
おおしま接骨院では、画像検査だけでは分かりにくい筋肉の状態や関節の動き、身体の使い方なども確認しながら、現在の痛みについて一緒に確認していきます。
「このまま様子を見ていて大丈夫なのか不安」「なぜ痛みが続いているのか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。






