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膝の軟骨がすり減っていると言われ、不安になっていませんか?
「膝の軟骨がすり減っています」
「変形性膝関節症ですね」
整形外科でこのように説明されると、
「もう治らないのではないか」
「歩くたびに悪化していくのではないか」
と不安になる方は少なくありません。
大丈夫です。
軟骨がすり減っていると言われても、痛みが必ず続くとは限りません。
実際の臨床でも、レントゲンで変形が見られるのにあまり痛くない方もいれば、画像上の変化は軽いのに強い痛みを感じる方もいます。少し意外かもしれませんが、「画像の変化」と「痛みの強さ」は、いつもきれいに一致するわけではありません。
ここで一度、考え方を止めてみてください。
痛みは、軟骨だけで決まるものではありません。
蓮田市内から来院された膝痛の方のケース
蓮田市内よりお越しのAさんは、1か月ほど前から右膝に痛みを感じるようになりました。
整形外科でレントゲン検査を受けたところ、膝の軟骨がすり減っていると説明されたそうです。いわゆる、変形性膝関節症と呼ばれる状態です。
当院に来院された時点では、歩行時に痛みがあり、膝まわりや太もも、ふくらはぎなど複数の筋肉に押すと痛む部分がありました。関節には軽い水腫、いわゆる「膝に水がたまる」状態も見られました。
初回から3回目までは、施術後数日は楽になるものの、しばらくすると痛みが戻る状態でした。
ただ、4回目以降からは痛みの戻り方が少なくなり、歩行時の不安も徐々に軽くなっていきました。先日6回目の施術を行った時点では、関節の症状も安定し、痛みも気にならなくなったとのことで、施術を終了しました。
もちろん、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。
それでも、「軟骨が減っている=痛みがずっと続く」とは言い切れないことを示す、臨床ではよくある経過のひとつです。
「軟骨が減っているから痛い」と決めつけすぎないこと
膝の痛みがあると、どうしても軟骨や骨の変形に意識が向きやすくなります。
たしかに、変形性膝関節症では関節の炎症、骨の変化、関節水腫、滑膜の反応などが痛みに関係することがあります。膝の状態を確認するうえで、画像検査が大切な場面もあります。
ただし、痛みの原因を「軟骨のすり減り」だけに絞ってしまうと、見落としてしまうものがあります。
それが、筋肉や筋膜の痛みです。
軟骨そのものには痛みを感じるセンサーが豊富にあるわけではなく、膝の痛みには関節周囲の組織、炎症、筋肉の緊張、神経の敏感さなど、複数の要素が関わると考えられています。変形性膝関節症の痛みについても、関節内の変化だけでなく、末梢神経や中枢神経の感作が関与する可能性が報告されています。
つまり、レントゲンで軟骨のすり減りが見つかったとしても、今感じている痛みの本体が、筋肉や筋膜にあるということもあります。
実は多い「筋膜性疼痛症候群(MPS)」
筋膜性疼痛症候群とは、筋肉や筋膜に過敏なポイントができ、そこが痛みを出したり、離れた場所に痛みを広げたりする状態です。
膝の場合、痛みが出ている場所だけでなく、太ももの前側、内もも、ふくらはぎ、お尻まわりの筋肉が関係していることもあります。
Aさんの場合も、膝関節そのものの症状だけでなく、膝の動きを支える筋肉に複数の圧痛がありました。歩くときに膝をかばうことで筋肉が緊張し、その緊張がまた痛みを強める、という流れが起きていた可能性があります。
これは珍しいことではありません。
痛みがあると体は自然に守ろうとします。
膝をかばう。
歩幅が小さくなる。
太ももやふくらはぎに力が入り続ける。
その結果、膝のまわりがさらに敏感になり、「少し動かしただけでも痛い」と感じやすくなることがあります。
痛みは「損傷の量」だけで決まるわけではありません
慢性的な痛みを考えるときに大切なのは、痛みを単なる損傷のサインとして見るのではなく、体と脳がどれくらい危険を感じているかという視点です。
脳は、膝から入ってくる情報だけでなく、過去の経験、不安、動かしたときの記憶、生活のストレス、睡眠状態なども含めて、「これは危ないかもしれない」と判断します。
その判断が強くなると、実際の組織の状態以上に痛みを感じやすくなることがあります。
これは「気のせい」という意味ではありません。
痛みは本当に感じています。
ただ、その痛みが必ずしも軟骨のすり減りだけから来ているとは限らない、ということです。
この視点を持てると、膝の痛みへの向き合い方が少し変わります。
「軟骨が減っているから仕方ない」ではなく、
「まだ変えられる要素があるかもしれない」
と考えられるようになります。
研究でも、画像所見と痛みは一致しないことが示されています
膝の変形性関節症では、レントゲン所見と痛みの程度が一致しないケースがあることが報告されています。
Bedsonらのシステマティックレビューでは、膝のレントゲン上の変形性関節症と、実際の膝痛との間にはずれがあることが示されています。つまり、画像で変形がある方すべてが痛いわけではなく、反対に痛みがある方すべてに強い画像上の変化があるわけでもない、という傾向が示唆されています。
また、Finanらの研究でも、膝OAのレントゲン上の重症度と臨床的な痛みの関連は限定的であり、痛みの強さには感覚の過敏性や心理社会的な要素も関係する可能性が示されています。
ただし、これは「画像検査に意味がない」という話ではありません。
骨髄病変、滑膜炎、関節水腫など、痛みに関わる構造的な要素もあります。研究には対象者や評価方法の違いもあるため、単純に「変形は痛みと無関係」とまでは言えません。
実務的には、こう考えるのが自然です。
膝の軟骨や変形は大切な情報のひとつ。
でも、痛みのすべてを説明するものではない。
だからこそ、筋肉、筋膜、動き方、神経の敏感さ、不安感、日常生活の負担まで含めて見ていくことが大切になります。
膝の軟骨がすり減っていても、改善できる可能性はあります
膝の軟骨がすり減っていると聞くと、どうしても「元に戻らないもの」に意識が向きます。
たしかに、軟骨そのものを簡単に元通りにすることはできません。
けれど、痛みを軽くするためにできることはあります。
筋肉や筋膜の過敏さを落ち着かせる。
膝にかかる負担を減らす動き方を身につける。
こわばった関節の動きを少しずつ取り戻す。
「動かすと悪くなる」という不安を減らしていく。
こうした積み重ねによって、痛みが改善していく方は少なくありません。
Aさんのように、最初は痛みが戻っていた方でも、体が少しずつ安全を取り戻していくと、痛みの戻り方が変わってくることがあります。
大丈夫です。
「軟骨が減っている」と言われたからといって、痛みの改善をあきらめる必要はありません。
早めに相談した方がよい膝の痛みもあります
一方で、すべての膝痛を様子見してよいわけではありません。
強い腫れや熱感がある、急に歩けなくなった、転倒後から痛みが強い、夜間痛が続く、発熱を伴うなどの場合は、まず医療機関での確認が必要です。
そのうえで、画像上の変化があるものの、痛みがなかなか引かない、歩くのが不安、膝のまわりの筋肉がいつも張っているという場合は、関節だけでなく筋肉や神経の敏感さも含めて見直してみる価値があります。
慢性痛は、長引くほど体も脳も痛みに敏感になりやすい傾向があります。
だからこそ、我慢しすぎず、早めに相談していただくことが大切です。
無理に通院をすすめたいわけではありません。
ただ、「年齢のせい」「軟骨のせい」と決めつけてしまう前に、まだできることがあるかもしれません。
膝の痛みでお悩みの方は、一度お気軽にご相談ください。








