痛みで痛みが抑えられる
3d rendered illustration of an active receptor

広汎性侵害抑制調節(DNIC:diffuse noxious inhibitory control)

痛みがなくなると、別の場所が痛くなるとはよく聞く話しです。経験がある方も多いのでは?

これには広汎性侵害抑制調節(DNIC)と言う機構が働いています。

熊澤孝朗先生の著書「痛みを知る」から引用してみましょう。

痛みで痛みを抑える仕組みが体の中にあることは、注意深く観察すれば日常生活の中でも感じられることがあると思います。

体のどこかが痛む時、そこ以外のどこかを痛いぐらいぎゅっと押さえると、元々の場所の痛みが消えてしまったり、あまり感じられなくなったりします。例としてあげれば、片方の手に不具合があって少し痛みを感じていた時に、もう一方の手を骨折すると、骨折の痛みばかりが感じられて、元々あった痛みの方はあまり感じられなくなるということが起こります。

この現象は「広汎性侵害抑制調節」と呼ばれており、体に備わった鎮痛系が働くためと考えられています。痛み信号があちこちから一度に入った時には、最も緊急を要する場所の痛みだけが伝わり、他の場所はとりあえず後回しにして痛みが抑えられる仕組みになっていると考えられます。生命を維持していくための優れた仕組みの一つと言えるでしょう。

という事です。

病院を受診するきっかけになった元々の痛みが無くなった、又は軽減した後に他の痛みが入れ替わって出てくることです。

ですから、そういったことがあっても新たに出てきた痛みは元々鎮痛されていただけであり、感じていなかったということです。これには厄介なケースもあって、以前あった痛みよりも更に強い痛みが入れ替わってくる場合もあります。この場合、患者さんは驚いてしまいますから、あらかじめ説明しておくことも必要でしょう。

最初の痛みが消えてから別の痛みが出てきても、再発や増悪したわけではないので心配は必要ないということです。(そういったケースもありますが)

人には緊急性が高い痛み以外を調節して感じにくくさせる調節機構があります。

昨日は夕方から急に冷え込みましたね。これから寒い日が続くようですから、身体を冷やさないようにしてくださいね(^^)

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