まず、痛みに対する過剰な恐怖や不安の一つに痛みを知らない、ということが挙げられます。
例えば、急性腰痛として有名なぎっくり腰。
一昔前まではぎっくり腰になったら冷やして安静と言われていました。
ヨーロッパの腰痛診療ガイドラインでは
・余程の激痛でない限り2日以上の安静は指示するべきではない
日本の腰痛診療ガイドラインでも
・腰痛に対して痛みに応じた活動性の維持は、ベッド上の安静よりも疼痛(痛み)を軽減し機能を回復させるのに有効である
と記載されています。
しかしながら、これらのことは全くと言っていいほど浸透していないのが現状です。
- 腰痛未経験者の腰をMRI撮影したら、腰椎椎間板ヘルニアが76%にみられた
- ヘルニアや脊柱管狭窄症で「手術」と「手術しない治療法」の両者では、数年後の治癒成績はほぼ同一
- 神経管を圧迫しても痛みは生じないことは、生理学では一般的
- 脊椎すべり症、椎間板狭小化、変形性脊椎症などは腰痛患者、健康な方を分けて画像を比較しても同程度に存在する
これらのことをご存知ではなく、この事実に驚かれる方が殆どです。
初めからこれらのことを知っていれば、例え病名をつけられても過剰な恐怖や不安に陥ることは少ないのではないかと思います。痛みに対する過剰な恐怖や不安に囚われると過度に腰を大事にしようとしてしまいます。
これらの意識や行動は「恐怖回避思考」と言われますが、これは腰痛を回復しにくくするばかりか、再発率を高めてしまうことに繋がります。
ですから痛みに立ち向かうためには、
1.痛みの基になっている認知(恐怖や不安)を変える=痛みを知る
2.無理のない範囲で動かす
といったことが、とても重要になるのですね(*^^*)
今回は腰のお話でしたが、基本的に肩でもヒザでも同じことが言えるのです(^^)