
目次
努力型の不眠症について
布団に入ったのに頭の中だけが働き続ける。
「早く寝なければ」
「明日が大変になる」
「あと何時間しか眠れない」
そんな考えが次々と浮かんできて、気が付けば時計ばかり見ている。
このような状態は決して珍しいことではありません。
特に真面目で責任感が強い方ほど起こりやすい傾向があります。
眠ろうと努力しているのに眠れない。
実はそこに、不眠が続いてしまうヒントが隠れていることがあります。
睡眠は「頑張る」と難しくなることがある
睡眠は本来、
- 呼吸
- 心拍
- 消化
と同じように、自動的に起こる生理現象です。
ところが、
「絶対に眠らなければ」
「今日こそしっかり寝たい」
と強く意識すると、脳はかえって緊張しやすくなります。
身体は休もうとしているのに、頭だけが活動モードになってしまうのです。
すると眠気が遠のき、
「なぜ眠れないのだろう」
「また明日もつらくなるかもしれない」
という不安が生まれます。
そしてさらに眠ろうと努力する。
この悪循環に陥ってしまうことがあります。
不眠症研究で注目されている「睡眠努力」
近年の不眠症研究では、
- 睡眠努力(Sleep Effort)
- 睡眠に対する非現実的な信念
- 過覚醒(脳や身体の緊張状態)
が不眠症と深く関係していることが報告されています。
つまり、
単純に「眠れない」のではなく、
「眠ろうと頑張りすぎること」が眠りを妨げている場合がある
ということです。
特に責任感が強く、一生懸命な方ほど陥りやすい傾向があります。
催眠や自己催眠が役立つ理由
催眠や自己催眠というと、
「眠らせる技術」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし実際には少し違います。
催眠や自己催眠の目的は、
無理に眠ろうとすることではなく、
- 身体の力を抜く
- 考えすぎに気づく
- 今の状態を受け入れる
ことです。
言い換えれば、
「眠ろうと頑張ることをやめる練習」
とも言えます。
努力型不眠症の方にとっては、この考え方そのものが大きな助けになることがあります。
催眠と睡眠に関する研究
不眠症に対する催眠療法を検討した研究では、
入眠までの時間の短縮や睡眠の質の改善が報告されています。
また、複数の研究をまとめたレビューでは、睡眠に対する催眠介入の多くで改善効果が確認されています。
さらに近年では、自分で行う自己催眠(セルフヒプノシス)の研究も進んでいます。
自己催眠によって、
- 就寝前の心配
- 考えごとの反復
- 過度な緊張
が軽減し、
睡眠の質が改善した可能性が報告されています。
もちろん催眠だけですべての不眠が改善するわけではありません。
しかし、
「眠ろうと頑張るほど眠れなくなる」
というタイプの不眠に対しては、理論的にも研究的にも相性が良い方法と考えられています。
自己催眠で大切な考え方
自己催眠を行う際に大切なのは、
「眠らなければならない」
ではなく、
「横になって休めているだけでも十分」
という姿勢です。
眠れないことと戦うのではなく、
眠れない自分を責めない。
すると不思議なことに、
脳や身体の緊張が少しずつ和らぎ、
結果として自然な眠気が訪れることがあります。
慢性痛との共通点
これは慢性痛ともよく似ています。
痛みを何とかしようと意識し続けるほど、痛みへの注意が強くなることがあります。
不眠も同じです。
眠ろうと頑張り続けるほど、
「眠れていないこと」
への注意が強くなってしまうことがあります。
だからこそ、
頑張る方向を変えることが大切です。
まとめ
不眠症では、
「眠ろうと努力すること」がかえって眠りを妨げる場合があります。
催眠や自己催眠は、
眠らせるための特別な技術というより、
眠りを邪魔している緊張や努力を手放すための方法です。
もし、
「眠ろうとしているのに眠れない」
そんな状態が続いているのであれば、
少しだけ考え方を変えてみるのも一つの方法かもしれません。
眠れない夜ほど、
「眠らなくても大丈夫」
と自分に許可を与えてみてください。
※自己催眠法は書籍や動画でも学ぶことができますが、一人ひとりの状態に合わせて練習した方が習得しやすい場合があります。
当院では自己催眠法の指導も行っています。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。








