
目次
「脊柱管狭窄症だから仕方ない」と思っていませんか?
さいたま市よりお越しの60代女性のAさん。
友人のご紹介で来院されました。
1年前から腰から脚にかけての痛みが続き、整形外科でMRI検査を受けたところ、「脊柱管狭窄症」と診断されたそうです。
薬やリハビリを続けていたものの、大きな変化は感じられず、不安を抱えたまま過ごされていました。
初回来院時、身体は横に傾いた状態でした。
いわゆる「疼痛性側弯」が起きていたと考えられます。
ただ、詳しく身体を確認すると、明らかな神経脱落症状は見られませんでした。
一方で、腰やお尻、太もも周囲など、広い範囲に筋肉の圧痛が存在していました。
そこで当院では、筋膜性疼痛症候群の関与を疑い、施術を開始しました。
本日で4回目の施術でしたが、Aさんから「かなり楽になってきた」とのお言葉をいただいています。
「MRIで狭窄がある=痛みの原因」とは限りません
少し意外かもしれませんが、MRIで脊柱管狭窄症が見つかっても、症状が全くない方は少なくありません。
実際に、日本・和歌山県の一般住民1009人を対象にした研究では、中等度以上の脊柱管狭窄が画像上確認されても、多くの方が無症状だったことが報告されています。
症状を伴っていた方は9.3%であり、画像所見と症状が必ずしも一致しないことが示唆されています。
この研究は地域住民を対象とした観察研究であり、痛みとの因果関係を断定するものではありません。
ただ、「画像に異常がある=その異常が痛みの原因」とは単純には言えない、という臨床的な感覚を裏付ける内容とも言えます。
痛みの本体は「筋肉・筋膜」にあることが多い
脊柱管狭窄症と診断されていても、整体や運動療法などで改善される方は実際に多く居ます。
では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
その理由の一つとして、画像上の変化とは別に、筋肉や筋膜由来の痛みが強く関与しているケースがあるからです。
筋膜性疼痛症候群では、筋肉の緊張や過敏性が高まり、関連痛として腰や脚に症状を出すことがあります。
さらに、長期間痛みが続くことで身体は「痛みを避ける姿勢」を学習し、今回のように身体が傾いた状態になることもあります。
つまり、身体が壊れているというより、「防御モード」が強く働いている状態という見方もできるのです。
痛みは“画像だけ”では説明できないことがあります
もちろん、すべての脊柱管狭窄症が筋膜性疼痛というわけではありません。
ただ、画像所見だけで痛みを説明し切れないケースは、臨床では決して珍しくありません。
だからこそ大切なのは、
- どの動きで痛むのか
- 神経症状が本当にあるのか
- 筋肉や筋膜の状態はどうか
- 身体がどんな防御反応を起こしているのか
こうした全体像を丁寧にみていくことです。
「狭窄しているからもう良くならない」と思い込んでしまうと、必要以上に不安が強くなってしまうこともあります。
不安が強くなると筋肉は余計に緊張してしまい、症状が悪化することもあるんです。
ですが、痛みには改善の余地が残されているケースも少なくありません。
もし現在、画像診断と症状のギャップに悩まれている方は、一度違う視点から身体をみていくことも大切かもしれません。
参考論文
Ishimoto Y, Yoshimura N, Muraki S, et al. Prevalence of symptomatic lumbar spinal stenosis and its association with physical performance in a population-based cohort in Japan: the Wakayama Spine Study. Osteoarthritis and Cartilage. 2012;20(10):1103-1108. https://doi.org/10.1016/j.joca.2012.06.018






