
膝の水
「膝に水がたまっていますね」と言われたことのある方は少なくありません。
では、その“水”とは何なのでしょうか。
いわゆる「水」の正体
膝にたまる水とは、**関節内に存在する滑液(かつえき)**のことです。
滑液はもともと関節の中に存在し、
- 軟骨の潤滑
- 衝撃の吸収
- 栄養供給
といった重要な役割を担っています。
通常、この滑液の量は一定に保たれています。
なぜ増えてしまうのか?
関節の周囲には多くの受容器(センサー)が存在しています。
これらは
- 関節の位置
- 張力
- 圧力
- 動き
などを感知し、関節の状態を常に“監視”しています。
滑液の量も、こうした受容器の働きと密接に関係していると考えられます。
受容器に機能的な障害が生じると、
滑液の量を適切にコントロールできなくなり、
必要以上に分泌・貯留してしまうことがあります。
※細菌感染や明らかな靭帯損傷後の炎症性滲出液は別の機序です。
全身の関節に共通する現象
これは膝だけの話ではありません。
関節周囲の受容器機能を調整すると、
その場で関節水腫が小さくなることを臨床で経験することがあります。
平常時には適量を維持できている滑液が、
機能障害が起こることで“過剰反応”してしまう。
そう考えると、
水がたまること自体が「悪いもの」というより、
関節の制御システムの乱れのサイン
と捉えることができます。
抜くべきか?
関節水腫は、
受容器の機能障害が改善すれば自然に消退することが少なくありません。
そのため、感染など明確な適応がない限り、
毎回針を刺して抜く必要があるとは限らないと考えています。
膝の水は「溜まったから悪い」のではなく、
「なぜ制御が乱れたのか」を見ることが大切です。
少し視点を変えるだけで、
対処の方向性は変わってきます。



