
「膝に水がたまっていますね」
よく耳にする言葉です。
そもそも“水”とは何でしょうか。
膝関節は関節包という袋に包まれており、その内部には関節液(滑液)が存在しています。これは特別なものではなく、健康な方の膝にも常にあります。
通常は無色透明〜やや黄色がかった色をしており、
- 関節の潤滑
- 衝撃の緩和
- 軟骨への栄養供給
といった重要な役割を担っています。
つまり、関節液は「悪いもの」ではありません。
では、なぜ“たまる”のでしょうか。
関節液は滑膜で産生され、同時に吸収もされています。
この産生と吸収のバランスが崩れると、関節包内に液体が過剰に貯留します。
これがいわゆる「膝に水がたまった」状態(関節水腫)です。
水が増えると関節包の内圧が上昇し、膨張します。その結果、周囲に存在する痛みセンサー(受容器)が刺激され、痛みや違和感、重だるさが生じます。
原因はさまざまです。
- 無色透明〜淡黄色:刺激や炎症反応による分泌亢進
- 赤色:関節内出血
- 白く濁る:細菌感染
臨床で最も多いのは、無色透明〜やや黄色の関節液の貯留です。
ここで興味深い現象があります。
皮膚や筋肉、関節周囲の軟部組織に適切な刺激を加えると、その場で水腫が縮小するケースをしばしば経験します。実際に施術前後で超音波観察を行い、変化を確認した例もあります(もちろん全例ではありません)。
この現象から考えられることは何でしょうか。
一つの仮説として、関節液の量は関節周囲の受容器によって調整されている可能性があるということです。
もし受容器の機能バランスが崩れれば、
- 産生が増えすぎる
- 吸収が追いつかない
という状態になり、結果として水が貯留するのかもしれません。
どの受容器がどのように関与しているのか、現時点では明確ではありません。
しかし、もし筋肉や皮膚への適切な刺激によって過剰な関節液が減少するのであれば、調整機構は外部から影響を受けうる、ということになります。
つまり――
水は「抜くべき敵」ではなく、
「調整が乱れた結果」と考える視点もあるのです。
この視点に立てば、
改善の可能性は決して狭くありません。



