「変形しています」と言われたら不安になる?画像所見と言葉が痛みに与える影響

病院でレントゲンやMRIを撮ったあと、

「変形していますね」
「椎間板がつぶれています」
「神経の通り道が狭くなっています」
「軟骨がすり減っています」

このような説明を受けた経験はありませんか?

画像検査は、身体の状態を知るためにとても大切な検査です。

一方で、その説明を聞いた瞬間に、

「もう治らないのでは?」
「動いたらもっと悪くなるのでは?」
「自分の身体はかなり壊れているのでは?」

と、不安になってしまう方も少なくありません。

実は近年、画像に何が写っているかだけでなく、その所見をどのような言葉で伝えるかも大切なのではないか、という考え方が注目されています。

MRIで変形や狭窄を指摘され不安になる患者さんに対し、画像所見だけで痛みの強さや今後の経過が決まるわけではなく、症状や動き、生活の状態も合わせて考えることが大切だと説明する4コマ漫画。

画像に変化があることと、痛みの強さは同じではありません

まず大切なのは、

画像で変化が見つかったことと、現在感じている痛みの強さが必ずしも一致するわけではない

ということです。

たとえば、椎間板の変性や関節の変形などは、痛みのない人にも見つかることがあります。

年齢とともに身体の構造にはさまざまな変化が起こります。

もちろん、それらの所見が症状と関係している場合もあります。

しかし、

「変形があるから必ず痛い」

「画像で異常があるから今後ずっと悪くなる」

と単純に決められるものではありません。

画像は身体を理解するための大切な情報の一つですが、それだけで現在の痛みや今後の経過がすべて決まるわけではないのです。

問題になるのは「画像」ではなく、その情報をどう受け取ったか

2026年に『Patient Education and Counseling』に掲載された論文では、整形外科領域の画像報告に使われる言葉について議論されています。

著者らは、

「変性」
「断裂」
「圧潰」
「高度狭窄」

といった専門的な表現が、患者さんによっては、

「身体が壊れている」
「危険な状態だ」
「動かしてはいけない」

という印象につながる可能性を指摘しています。

これは、専門用語そのものが間違っているという意味ではありません。

医療者同士が正確な情報を共有するためには、専門的な表現は必要です。

大切なのは、専門用語だけを伝えて終わらせず、その所見が患者さんにとってどのような意味を持つのかまで説明することです。

「変形があります」で終わらせない

論文では、専門的な記載を残しながら、患者さん向けには、

  • その所見が何を意味するのか
  • 年齢に伴って一般的に見られる変化なのか
  • 現在の症状とどの程度一致しているのか
  • 日常生活や運動にどのような意味があるのか

といった情報も加えることが提案されています。

たとえば、

「関節に変形があります」

という説明だけを聞くと、不安になるかもしれません。

しかし、

「関節に変形はあります。ただし、この画像所見だけで現在の痛みの強さや今後の経過がすべて決まるわけではありません」

と説明されれば、受け取り方はかなり変わります。

画像に写った事実を否定するのではなく、その意味を正しく位置づけるということです。

なぜ「言葉」で痛みに影響するのでしょうか?

人間の脳は、身体から送られてくる情報だけでなく、

「これは危険なのか」
「身体が傷ついているのか」
「これ以上動かして大丈夫なのか」

といった情報も使いながら、身体の状態を判断しています。

そのため、

「骨がボロボロです」
「かなりすり減っています」
「このままではもっと悪くなります」

といった言葉を聞けば、不安や警戒心が強くなることがあります。

すると身体を動かすことが怖くなったり、痛む場所ばかりが気になったり、必要以上に身体をかばうようになったりすることがあります。

このように、悪い結果を予想することで症状や不快感が強くなる現象を「ノセボ」と呼びます。

これは決して「気のせい」という意味ではありません。

身体を守ろうとする脳の働きが強くなった結果として起こる、ごく自然な反応です。

だからこそ、患者さんに伝える言葉も治療や患者教育の一部として大切なのです。

では、画像検査は必要ないのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。

画像検査は非常に重要です。

骨折や重大な神経障害、腫瘍、感染症など、放置してはいけない病気を確認するために画像検査が必要になることがあります。

また、症状と画像所見が一致している場合には、治療方針を決めるうえで重要な情報になります。

したがって、

「画像なんて意味がない」

と考えるのも間違いです。

大切なのは、

画像だけを見るのでもなく、画像を無視するのでもなく、症状や身体の動き、日常生活の状態と合わせて考えること

です。

おおしま接骨院では、画像所見を否定しません

おおしま接骨院では、病院で受けた診断や画像所見を否定することはありません。

それらは身体を理解するための大切な情報です。

そのうえで、

「実際にはどのような動きで痛むのか」

「何をすると楽になるのか」

「どの程度動くことができるのか」

「日によって症状は変化するのか」

「仕事や生活の中で何に困っているのか」

といった、今現在の身体の状態も一緒に確認していきます。

画像に写っている変化と、実際に感じている症状。

その両方を見ることが大切だからです。

「変形している」と言われても、それだけで未来は決まりません

「変形しています」

そう言われれば、不安になるのは自然なことです。

しかし、画像に変化があるからといって、

「もう良くならない」

「動いてはいけない」

「これから必ず悪化する」

と決まったわけではありません。

画像は身体について教えてくれる大切な情報です。

そして、実際の動きや症状、生活の中でできていることも同じくらい大切な情報です。

画像に写った変化と、今あなたが困っている症状。

どちらか一方だけで身体を判断するのではなく、両方を合わせて考えていきましょう。


参考文献

Xu L, Fu J. Patient-safe radiological language: Reducing nocebo harm in orthopedic imaging reports. Patient Education and Counseling. 2026;152:109830.

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