木を見て森を見ず

本日は膝の痛みを訴えて来院される方が続きました。
最近、膝痛の方が増えている印象があります。

膝の痛みで受診される方の多くは、すでに何らかの診断名がついています。

  • 変形性膝関節症
  • 鵞足炎
  • 腸脛靭帯炎

一方で「異常なし」と言われて不安になり来院される方も少なくありません。

現代医療では、痛みの原因をレントゲンやMRIといった画像所見から判断することが一般的です。しかし前回の記事でも触れた通り、画像には“痛みそのもの”は写りません。

さらに、関節の変形や軟骨の変化は、年齢とともに自然に起こる現象でもあります。

米国マサチューセッツ州で行われた研究では、レントゲン上で変形性関節症が認められない50歳以上の方にMRI検査を実施したところ、骨棘や軟骨損傷などの所見が実に89%に見つかったと報告されています。

年齢とともに皮膚に皺ができるのと同じように、関節にも変化は起こります。
しかし皺そのものが「痛み」ではないのと同様に、画像所見そのものが「痛み」と一致するとは限らないのです。

そしてもう一つ大切な視点があります。

痛みを感じている場所が、必ずしも原因の場所とは限らないということです。

本日の患者さんを例に挙げます。

お一人は膝自体には大きな異常はなく、腰部に伸展制限と筋圧痛が見つかりました。
もうお一人は膝に変形があり可動域制限もありましたが、患側の中足部に強い圧痛が存在していました。

お二人とも、その関連部位を調整することで症状はその場で改善しました(もちろん、すべての方が即時に良くなるわけではありません)。

このように、原因部位とは異なる場所に痛みが出現する現象を関連痛といいます。

胃の不調で背中が痛くなったり、心臓の異変で左肩や腕に痛みが出たりするのは有名ですが、筋肉・皮膚・靭帯でも同様の現象は起こります。実は臨床では非常に多く見られます。

痛い場所だけを治療してもなかなか改善しない場合、関連痛という視点を持つことは重要です。

関節や神経だけでなく、筋肉や皮膚の状態にも目を向けてみる。

「木を見て森を見ず」という言葉があります。
部分だけにこだわりすぎて、全体像を見失ってしまうことの例えです。

痛みもまた同じです。

膝だけを見ていると、本当の原因を見逃すことがあります。
大切なのは、全体を俯瞰する視点なのです。

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