
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、
「半月板や軟骨がすり減る」「骨が変形することで痛みが出る」
と説明されることが多い疾患です。
しかし実際には、画像上で変形があっても痛みがない方は少なくありません。
つまり、
変形=必ず痛い
というわけではないのです。
軟骨や半月板は、そもそも強く痛みを感じる組織ではない
半月板や関節軟骨には、痛覚神経はほとんど存在しません。
あったとしても外側の一部のみです。
では、なぜ痛むのでしょうか。
変形性膝関節症の痛みは、
- 関節包
- 滑膜
- 周囲の靱帯
- 筋肉
といった軟部組織の受容器の機能変化が関与していることが多いと考えられています。
さらに、痛みが続くと筋緊張が高まり、
その緊張がまた痛みを増幅させる――
という悪循環に入ることもあります。
「動かさないこと」が、かえって悪循環をつくる
筋肉は血液によって栄養されます。
しかし関節の中は少し特殊です。
関節軟骨は血管を持たず、
関節液の循環によって栄養されています。
この関節液は、動くことで循環が促されます。
つまり、
- 痛いから動かさない
- 動かさないから関節液が循環しない
- 筋肉が硬くなる
- さらに痛む
という流れが起こりやすくなるのです。
そのため、強い痛みがある時期を除けば、
多少の痛みがあっても、無理のない範囲で軽く動かすことが重要です。
内側広筋が硬くなっていませんか?
変形性膝関節症の方では、
太ももの内側にある内側広筋(ないそくこうきん)が硬くなっていることがよくあります。
押してみて強い圧痛がある場合は、
やさしくマッサージして緊張を和らげてあげるのも一つの方法です。

手術は本当に必要?
変形性膝関節症に対する関節鏡手術については、
有名なランダム化比較試験(RCT)があります。
変形性膝関節症の患者180人を
- 関節内洗浄群
- 関節鏡手術群
- 模擬手術群(皮膚切開のみ)
に分けて比較した研究では、
関節鏡手術の成績は、2年間にわたり模擬手術と同等でした。
つまり、
構造的な処置が必ずしも痛みの改善に直結するわけではない、
という示唆が得られています。
※参考文献:Kirkley A, et al. A controlled trial of arthroscopic surgery for osteoarthritis of the knee. N Engl J Med. 2002.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12110735/
まとめ
変形性膝関節症は、
- 画像の変形だけで痛みが決まるわけではない
- 軟部組織や神経系の関与が大きい
- 動かさないことが悪循環をつくる
という側面があります。
「変形しているから仕方ない」とあきらめるのではなく、
安全な範囲で動きを保ち、筋肉と関節の環境を整えていくことが大切です。
膝は、動かすことで守られる関節でもあります。
膝の変形があるからといって、
必ずしも痛みが続くわけではありません。
大切なのは、「壊れている」という不安ではなく、
今の膝がどのくらい動けるのかを一緒に確かめることです。
過度に守りすぎず、無理もせず、
その方に合った“ちょうどよい刺激”を見つけていきます。
膝は、適切に動かすことで守られる関節です。
どうか、あきらめないでください。



