
栃木県よりお越しのAさん。
2か月前、肩甲骨を大きく動かす運動をした直後から背中に痛みが出現。その後、右手の握力低下が気になり始めました。
整形外科でMRIを撮影したところ、「第5–6頚神経の圧迫」「頚椎症」「頚椎椎間板ヘルニア」と説明を受けたそうです。牽引治療を受けたものの気分不快が出現し、その後しびれも出現。改善しなければ手術という話もあったとのこと。箸やペンが使いづらい状態でした。
■ 初回来院時の所見
来院時、
- 頚部筋群の強い緊張
- 可動域の著しい低下
- 右握力の軽度低下
は認めましたが、
- 深部腱反射:正常
- 病的反射:陰性
- 明確な神経脱落所見:なし
さらに、頚部から前腕にかけて複数の強い圧痛点が存在していました。
■ 施術後の変化
筋緊張を緩める施術を行ったところ、その場で変化を自覚。
4回目の施術時には、
- 握力は徐々に回復
- 箸やペンの使いづらさも改善傾向
とのことでした。
■ なぜ握力が落ちるのか
「神経が圧迫されている」と言われると、
それが唯一の原因のように感じてしまいます。
しかし、筋肉が過剰に緊張すると、
- 血流低下
- 局所の酸素不足
- 神経周囲の環境悪化
- 出力低下(うまく力が入らない)
といった状態が起こります。
重い荷物を長時間持った後、
手がしびれたり力が入りにくくなった経験はありませんか?
あれと同じ現象が、持続的な筋緊張で起こることがあります。
■ 神経症状と思われていたものの正体
このようなケースでは、
神経そのものよりも“筋の過緊張”が主因であることが少なくありません。
これは 筋膜性疼痛症候群(MPS) の一形態と考えられます。
筋肉という「海」の中で、
痛みや感覚のセンサーが溺れて酸欠を起こしている状態。
神経が壊れているのではなく、
神経が働きづらい環境になっているだけ、ということも多いのです。
■ 画像所見と症状は必ずしも一致しない
MRIで所見が見つかることと、
それが現在の症状の直接原因であることは別問題です。
大切なのは、
- 反射
- 筋力
- 感覚
- 経過
- 施術反応
これらを総合的に評価すること。
Aさん、このまま回復していくと良いですね。
「手術しかない」と思い込んでいた状態から、
身体が変化を見せ始めたこと自体が、回復への大きな一歩です。
神経の病気だと思われていたものが、
実は筋肉の過緊張による機能低下だった。
こうしたケースは、決して珍しくありません。



