頚椎ヘルニアと診断されても安心してほしい理由|しびれの本当の見方【症例】

頚椎ヘルニアと診断されて不安になっている方へ

「ヘルニアと言われた」「しびれが続いている」
そう聞くと、どうしても悪い状態を想像してしまうかもしれません。

今回の症例も、まさにそのようなケースでした。


症例:頚椎ヘルニアと診断されたAさん

さいたま市よりお越しのAさん。
一年前から左手のしびれと首の痛みがありました。

複数の整形外科でMRIを撮影したところ、頚椎椎間板ヘルニアと診断されたそうです。

仕事がとても忙しく、平均睡眠時間は4〜5時間ほど。
体温もやや低く、35.8℃前後とのことでした。

症状に関係しそうな大きな病歴はありません。

ただ、首の痛みや手のしびれに加えて、

  • 口が乾く
  • 大量に汗をかく
  • 体が冷える
  • ふらつく
  • トイレが近い

といった症状も見られていました。


一般的に考えられている「ヘルニア=原因」という考え方

多くの場合、「ヘルニアがある=しびれの原因」と考えられます。

ですが、少し意外かもしれませんが、
画像で見つかる異常と症状は必ずしも一致しないことが知られています。

実際、痛みやしびれがない方でも、ヘルニアや変形が見つかることは珍しくありません。


本質的な見方:痛みは“状態”であって“損傷”とは限らない

初見時、Aさんは胸鎖乳突筋という首の筋肉が強く緊張しており、
体のあちこちに圧痛が見られました。

また、表情や顔色からも、全身の負担が大きい状態がうかがえました。

神経脱落症状がなかったことから、
筋膜性疼痛症候群(MPS)の可能性も考え、施術を開始しました。

ここで一度、立ち止まって考えてみてください。

「本当に神経の圧迫だけで、この症状が説明できるのか?」

痛みは、単なる構造の問題ではなく、
脳や神経の“安全性の判断”によって作られる側面があります。

これは「生物心理社会モデル」と呼ばれる考え方です。


臨床でよくある変化

Aさんには食生活の見直しも提案しました。

甘いものが好きで、お菓子を多く摂取していたため、
糖質を控え、たんぱく質と脂質をしっかり摂るようにお伝えしました。

すると、

  • 初回の施術で大きく改善
  • 3回目でほぼ症状消失

という経過をたどりました。

ただし、朝に軽いしびれが出ることがあり、
「やはりヘルニアが原因ではないか」と気にしてしまう様子もありました。


「病名」にとらわれることで起こること

病名がつくと、人はその情報を強く意識するようになります。

そして、

  • ネットで調べ続ける
  • 常に症状をチェックする
  • 悪化を想像する

こうした状態が続くと、
不安が高まり、結果的に痛みやしびれを強めてしまうことがあります。

これは珍しいことではなく、よくある反応です。


なぜ同じヘルニアでも差が出るのか

世の中には、ヘルニアや関節の変形があっても
まったく症状のない方が多くいます。

この差はどこから生まれるのでしょうか。

近年の研究では、
「構造的な異常だけでは痛みは説明できない」
という考え方が広がっています。

例えば、Brinjikjiらのシステマティックレビュー(2015)では、
無症状の人でも椎間板変性やヘルニアが高頻度で見られることが示されています。
Brinjikji W, et al. AJNR Am J Neuroradiol. 2015

ただし、この研究も画像所見と症状の関係を完全に否定するものではなく、
あくまで「一致しないケースが多い」という傾向を示したものです。

臨床的には、

  • 生活習慣
  • ストレス
  • 睡眠
  • 思考パターン

などが重なって、症状として現れると解釈する方が自然なケースも多くあります。


思い込みと身体の関係

「思い込み」は身体に強く影響します。

有名な例として、

  • 実際は冷たいものでも「熱い」と思えば火傷様反応が出る
  • 病気ではないのに重い診断を受けると体調が悪化する

といった現象があります。

少し不思議に感じるかもしれませんが、
これは脳の予測機能による自然な反応です。


食生活と自律神経の影響

Aさんのように糖質を多く摂取している場合、

  • 体温の低下
  • 自律神経の乱れ
  • 睡眠の質低下

などが起こりやすくなることがあります。

その結果、

  • めまい
  • ふらつき
  • 口渇
  • 発汗
  • 冷え
  • しびれ

といった症状につながることもあります。

もちろん、これがすべての原因とは限りませんが、
一つの要因として考える価値はあります。


安心してほしいこと

今回のケースのように、

  • ヘルニアと診断されていても
  • 症状が短期間で改善する

ということは珍しくありません。

つまり、

「構造=症状」ではない可能性があるということです。

大丈夫です。
改善の余地は十分にあります。


まずできること(無理のない範囲で)

もし今、似たような状態であれば、

  • 睡眠時間を少し見直す
  • 甘いものの量を少し減らす
  • 病名から少し距離をとる

このあたりから始めてみてもよいかもしれません。

無理に変える必要はありません。
「少し意識する」くらいで十分です。


まとめ

痛みやしびれは、
必ずしも画像の異常だけで説明できるものではありません。

少し視点を変えるだけで、
体の反応は変わってくることがあります。

焦らなくて大丈夫です。
一歩引いて、自分の状態を見てみることも大切です。


ご相談を検討されている方へ

もし今、同じように
「ヘルニアと言われて不安が続いている」
「なかなか症状が変わらない」

そんな状態であれば、一度違った視点から体を見てみることも選択肢の一つかもしれません。

当院では、画像や病名だけにとらわれず、
生活習慣や体の反応、全体のバランスを含めて丁寧にみていきます。

無理に通院をすすめることはありませんので、
まずはご自身の状態を整理するきっかけとしてでも大丈夫です。

「これも関係あるのかな?」というような小さな疑問でも構いません。

必要な方に、必要な形で関われればと思っています。


関連記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

健康に役立つ情報をお届けします^^

Xでフォローしよう

おすすめの記事