

脊柱管狭窄はあっても無症状の方が大多数です
目次
脊柱管狭窄症は痛みの原因になるのか
以前より何度か書いている腰痛や足の痛みの原因として有名な腰部脊柱管狭窄症ですが、時代の流れとともに本当に脊柱管の狭窄と症状は関係するのか?考え直さなくてはいけない時期にきています。
まずは腰部脊柱管狭窄症について簡単に説明していきます

腰部とはそのまま腰のことです。
脊柱管とは脳から続く脊髄神経が通っている管のことです。
脊柱の管。
脊柱管狭窄症とは、この脊髄を通す管が何らかの原因で狭くなり、脊髄を圧迫して痛みやしびれなどの症状を出す疾患とされています。
主な症状は腰の痛みや足の痛みやしびれ、そして有名なのは間欠性跛行(かんけつせいはこう)ですね。
跛行はびっこのことです。
これは歩いていると痛みが増してくるため、休憩しながら歩く状態をいいます。
1990年代、MRIが急速に普及したころより腰部脊柱管狭窄症という病名はよく聞くようになってきました。
よく聞く腰部脊柱管狭窄症ですが、実は明確な定義は決まっていません。
腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011から抜粋してみましょう。
P18、腰部脊柱管狭窄症とは何かから
要約 現在のところ、腰部脊柱管狭窄症の定義について完全な合意は得られていない。
中略
腰部脊柱管狭窄症では、腰部脊柱管狭窄あるいは椎間孔(解剖学的に椎間孔は脊柱管には含まれていない)の狭小化により、神経組織の障害あるいは血流の障害が生じ、症状を呈すると考えられている。
腰部脊柱管狭窄症ガイドライン2011
しかしながら、現在のところその成因や病理学的な変化が完全には解明されてはおらず、定義についても上記のごとく、さまざまな意見がある。
このため、腰部脊柱管狭窄症は複数の症候の組み合わせにより診断される症候群とするのが妥当である。
原因が明確になれば、将来疾患として再分類あるいは再定義される可能性がある。
画像上の変化と症状は一致しない
和歌山の腰部脊柱管狭窄症に関する研究
和歌山在住の成人(21歳-97歳)1009名(男性335人、女性674人、平均年齢66.3歳)がレントゲン撮影により分析されました。
そのうち痛みなどの症状がある人は全体で9.3%(男性10.1%、女性8.9%)で、大多数の方はレントゲン画像上腰に脊柱管狭窄があっても無症状だったのです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/22796511/

腰部脊柱管狭窄症と症状の関連
神経を圧迫して痛みやしびれが出る。
これは一見最もそうな説明ではありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

1995年にボルボ賞を受賞した研究では、重度の腰痛及び坐骨神経痛を有する46名と、年齢、性別、危険因子(重いものを持つ、座ることが多いなど)を一致させた無症状の46名と比較しました。
無症状の46名をMRI撮影したところ、76%の人に椎間板ヘルニアが認められ、85%の人に何らかの椎間板異常が見つかったのです。
無症状、つまり痛みやしびれなどが全く無いにも関わらずです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/8747239/?i=2&from=boos%201995%20hernia
次に紹介する論文では、腰部脊柱管狭窄症の方100名をレントゲンや脊髄造影、CTで調べた結果、脊柱管の狭窄の程度と、痛みやしびれなどの症状は一致しなかったというものです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=7638662
腰痛未経験でもMRI撮影すると76%に腰椎ヘルニアが見つかり、脊柱管が狭くても全く症状の無い人もいて、画像撮っても画像の変化と症状は一致しない。
手術してもプラシーボの70%に届かない。
手術を多く実施する地域の方が治療成績が悪い。
そうであれば椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症という病名そのものがおかしいなと思いませんか?
そんなに神経が圧迫に弱ければ座り仕事の方の坐骨神経、スポーツをする方の足底神経などはもっと障害を起こしてもよさそうなものですが、座る時間が長くて坐骨神経が麻痺したり、運動をしすぎて足底神経が麻痺したという話は聞きませんね。
生理学者の熊澤孝朗先生は著書「痛みを知る」の中で「神経線維は通常その末端の受容器からの信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こす様なことはありません。」と述べています。
もともと神経とは圧迫には強いですし、電気コードの様なものなので、圧迫したからといって受容器が無いので何も起こらないのです。
※極稀に麻痺になる方はいますが、症状は動かしにくい、触っているのが鈍い・わからないなどです。こういった症状がある場合、自己判断せずにすぐに病院に受診しましょう。

画像検査が増えるに従って新たな病名と患者が増えていっています。
そうなれば必然的に手術件数も増えるわけですが、こういった事実からヘルニアや脊柱管狭窄は考え直した方がいいのではないでしょうか。
このまま行けば社会保障費が膨らんでまともに生活できない日が来ます。
※MRI検査307%増加、オピオイド処方423%増加、硬膜外ブロック629%増加、手術(脊椎固定術)220%増加したが、転帰の改善は伴わなかった。
Deyo RA et al, J Am Board Fam Med, 2009
無意識は思い込んだことを現実化しようとする
先日の記事「病は口ぐせで変化する」にも書きましたが、人は思い込んだことを現実化しようとするんです。
これは無意識が行っていることなのですが、無意識がそう思うと人はその様に動いてしまうんですね。

無意識とは心理学の父、ジークムント・フロイトが提唱したものですが、フロイトは意識と無意識を海に浮かぶ氷山に例えています。
海面より上に見える部分を意識、海面より下に沈んで見えない部分を無意識と表現し、体の支配力は90%以上が無意識だと説明したのです。
人は不安や恐怖で精神が不安定なときに権威性のある医師から不安や恐怖を煽るようなことを言われたり、画像を使って説明されると強力に無意識に刷り込まれてしまうんです。
一度無意識が信じ込んだことは意識の力ではちょっとやそっとでは変化しません。
それほど無意識には力があるんです。
それでもやれることはある
無意識は強力で、思い込んだことを現実化しようとする。
それでは一度おかしくなったらもう打つ手がないのかと言われると、決してそうではありません。
あなたの周りにも話を聞いているといろんな不調から立ち直った方は少なくないはず。
痛みと関係のない写真を心配するよりも、できることをやって改善させて行きませんか。
意識と無意識と聞いて怪しいと思うかもしれません。脳の島皮質や、前帯状回、側坐核や扁桃体などの表現はもしかしたら理解し難いと思い、意識と無意識という表現にしています。
しかし、fMRI(ファンクショナルMRI)の登場により、脳がどう反応するのかが分かってきていますから、無意識の働きが可視化されてきているんです。
脳科学的にそれらを知りたい場合、下記「脳には妙なクセがある」などを参考にしてください^^





