ノーシーボ効果とは?
こんにちは、今日は痛みとノーシーボ効果についてお話ししたいと思います。
皆さんはノーシーボ効果という言葉を聞いたことがありますか?
ノーシーボ効果とは、全く効果のない薬でも思い込みによって副作用が出てしまう効果のことです。
例えば、偽薬を用いる医薬品の臨床試験において、副作用があると信じ込むことによって、その副作用がより強く出現する場合があります。
では、痛みに対してもノーシーボ効果は起こるのでしょうか?実は、痛みは非常に主観的な感覚であり、心理的な要因や社会的な要因にも影響されます。したがって、痛みに対してもノーシーボ効果は起こり得るのです。
電気刺激を与えた実験
例えば、ある実験では、被験者に電気刺激を与えて痛みを感じさせました。
その際、被験者の一部には「この刺激は非常に強くて痛い」という説明をしました。
すると、その被験者たちは実際よりも高いレベルで痛みを報告しました。
これは、「この刺激は非常に強くて痛い」という情報が被験者の期待や不安を高めて、痛みを増幅させたためだと考えられます。
偽薬を与えた実験
また、ある実験では、被験者に偽薬(サリチル酸)を飲ませてから冷水浴をさせました。
その際、「この薬は冷水浴中の手足のしびれや冷感を増す」という説明をしたグループと、「この薬は冷水浴中の手足のしびれや冷感を減らす」という説明をしたグループに分けました。
すると、「増す」と言われたグループでは実際よりも高いレベルでしびれや冷感を報告しました。
「減らす」と言われたグループでは逆に低いレベルで報告しました。
これは、「この薬は~する」という情報が被験者の期待や信頼を操作して、症状への感受性や耐性を変化させたためだと考えられます。
これらの実験からわかるように、痛みや不快感などの主観的な感覚は思い込みや情報伝達などで変化する可能性があります。
これらの現象は全てノーシーボ効果(またはプラセボ効果)と呼ばれるものです。
Wi-Fiを使った実験
この研究では、Wi-Fiに関する健康リスクの映像を見た被験者と、Wi-Fiに関係ない映像を見た被験者とを比較し、シャムWi-Fi暴露によって電磁過敏症の症状が誘発されるかどうかを検討した。
結果として、Wi-Fiに関する健康リスクの映像を見た被験者は、シャムWi-Fi暴露中に電磁過敏症の症状をより多く報告した。また、その後の無暴露期間でも、その影響が持続した。
これはノーシーボ効果と呼ばれる現象であり、健康リスクに関する情報が不安や恐怖を引き起こし、身体的な反応を誘発することを示している。
この研究は、Wi-Fiや他の電磁波源に対する社会的な懸念が、電磁過敏症の発生や増悪に寄与している可能性があることを示唆している。また、ノーシーボ効果は個人差が大きく、心理的な要因や個人的な信念が影響することも示している。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0013935120309166