
まだまだ時間が必要ですね
長年、痛みやしびれは
- 骨の変形
- 軟骨の摩耗
- 神経への圧迫
といった「構造の問題」で説明されてきました。
いわゆる損傷モデルです。
しかし近年、この考え方は少しずつ見直されつつあります。
画像検査は本当に必要か?
日本整形外科学会と日本腰痛学会がまとめた腰痛診療ガイドラインでは、
重篤な脊椎疾患の兆候がない限り、すべての患者に画像検査を行う必要はない
と示されています。
ここでいう重篤な疾患とは、
- 悪性腫瘍
- 感染症
- 骨折
などです。
つまり、多くの腰痛は「画像で説明できる異常」が必ずしも原因とは限らない、ということになります。
いきなり考え方を変えるのは難しい
とはいえ、これまで長い間
「骨が変形しているから痛い」
「神経が圧迫されているからしびれる」
と説明されてきたわけです。
いきなり「そうではない可能性もあります」と言われても、戸惑うのは当然です。
私がいくら「大丈夫ですよ」とお伝えしても、
周囲からは違う説明を受けていることも多く、
すぐに信じられないのは無理もありません。
だからこそ、変化には時間が必要だと感じています。
医療は急に方向転換すると混乱を生みます。
少しずつ、理解が広がっていけばよいと思っています。
慢性痛という別の視点
痛みは急性期であれば自然に軽快することが多いものです。
しかし慢性化すると、単純な損傷モデルでは説明できない状態になります。
慢性痛は、神経系の可塑的変化によるものと考えられています。
- 中枢性感作
- 下行性疼痛抑制系の機能低下
などが関与すると説明されます。
単純に「〇か月続いたら慢性痛」と線引きできるものではありません。
- 最初から慢性痛様の症状を示す方もいます
- 何年も急性痛の延長のように続く方もいます
痛みは、単なる組織の問題ではなく、
神経系の働きそのものが変化している状態なのです。
少しずつ、理解は広がっています
情報通信技術の発達により、
「何かおかしい」
「本当に骨だけの問題なのだろうか」
と考える方は確実に増えてきました。
これはとても良い変化だと感じています。
痛みで苦しんでいる方が、
不安ではなく理解の方向へ進めるように。
そして、皆さんの痛みが少しでも早く軽くなりますように。
腰痛に 安静、有効と限らず
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3000L_Q2A231C1CR8000/



