
さいたま市よりお越しのAさん。
ストレッチを行った後から右肩に痛みが出現し、徐々に腕が挙がりにくくなったとのことでした。レントゲンでは骨に異常はなく、「五十肩でしょう」と説明を受けたそうです。
当院で確認すると、可動域はやや制限されているものの重度ではありません。肩まわりの筋肉には複数の圧痛点がみられました。
2回目の来院時、右肩はかなり改善していました。しかし今度は「数日前から右膝が痛い」とのこと。特にぶつけた記憶や負担をかけた自覚はありません。
「一か所よくなると、別のところが痛くなる」
臨床では珍しくない現象です。
なぜ起こるのか?
この背景に関わる可能性があるのが、広汎性侵害抑制調節(DNIC)という生体の仕組みです。
広汎性侵害抑制調節とは、「痛みで痛みを抑える」仕組みのことです。
身体のどこかに強い痛み刺激があると、脳から脊髄へ抑制信号が下り、別の部位の痛みを弱める働きが起こります。
たとえば、
- 強く肩が痛んでいる間は、
- もともとあった膝の違和感が“感じにくくなっている”
ということが起こり得ます。
肩の痛みが軽減すると、今度は抑えられていた膝の感覚が表面化する。
その結果、「治ったら別が痛くなった」と感じるのです。
体はつながっている
これは「次々と悪い所が出てきた」という意味ではありません。
神経系のバランスが変化した結果、感覚の優先順位が変わった可能性があります。
重要なのは、
- ひとつの痛みだけを“敵”にしないこと
- 身体全体の調整を考えること
- 不安になりすぎないこと
です。
痛みは単なる局所の問題ではなく、脳・神経系を含めた全身の反応です。
変化が起きること自体は、回復過程の一部である場合も少なくありません。
まだ暑い日が続きますね。
水分とミネラル補給を忘れずに。体調管理も、回復力を支える大切な要素です。



