課題の分離で考える慢性痛|痛みはコントロールできるのか?

「この痛み、どうにかしたい」
「良くなったと思ったのに、また戻ってしまう」

慢性的な痛みで悩んでいる方の多くが、このような思いを抱えています。

そして次第に、

「結局、痛みはコントロールできないのではないか」

という感覚に変わっていくことも少なくありません。

しかし、ここで一つ視点を変えてみてください。
もしかすると、“コントロールしようとしている対象そのもの”が違っている可能性があります。


痛みはコントロールできないのか?

まず前提として、痛みは非常に複雑な現象です。

従来は、

  • 骨の変形
  • 神経の圧迫
  • 筋肉の硬さ

といった「身体の異常」が原因と考えられてきました。

しかし現在では、画像所見と痛みは必ずしも一致しないことが広く知られています。

実際に、痛みがない人でも椎間板ヘルニアや変形が見つかることは珍しくありません。

つまり、

痛み=身体の状態そのもの

ではなく、

痛み=身体+脳の解釈

という視点が重要になってきます。


課題の分離という考え方

ここで役立つのが、アドラー心理学で提唱されている「課題の分離」という考え方です。
この視点は、実は慢性痛の理解にも非常に重要なヒントを与えてくれます。

なぜなら、痛みの多くは「体そのもの」だけでなく、
「それをどう捉えるか」によって大きく変化するからです。

これは簡単に言うと、「自分がコントロールできること」と「できないこと」を分けるという視点です。

「自分がコントロールできること」と「できないこと」を分ける

というものです。

慢性痛に当てはめると、こうなります。


■コントロールできないこと

  • 痛みが出るかどうか
  • 過去のケガや体の状態
  • 一時的な身体の反応

■コントロールできること

  • 痛みに対する考え方
  • 行動(動くか、避けるか)
  • 注意の向け方

ここで重要なのは、

「痛みそのもの」は完全にはコントロールできないが、
「痛みに対する反応」はコントロールできる

という点です。


なぜ痛みは強くなるのか?

ここで脳の働きが関係してきます。

脳は「危険」を察知すると、体を守るために痛みを強めます。
これは本来、非常に重要な防御反応です。

しかし問題は、

実際には危険ではない状況でも「危険」と判断してしまうこと

です。

例えば、

  • 「また痛くなるかもしれない」
  • 「この動きは危ない」

といった不安があると、脳はそれを“危険信号”として処理します。

その結果、痛みが増幅されることがあります。


ノーシーボ効果という現象

ここで関係してくるのがノーシーボ効果です。

これは、

「悪い結果を予測することで、実際に悪い反応が起きる」

という現象です。

例えば、

  • 「この姿勢は腰に悪い」
  • 「この動きは危険」

と繰り返し聞いたり、信じてしまうと、

実際にその動作で痛みを感じやすくなります。

つまり、

痛みは“体だけ”で作られているわけではない

ということです。


プライミング効果との関係

さらに関連するのがプライミング効果です。

これは、

事前に与えられた情報が、その後の反応に影響する現象

です。

例えば、

  • 「この動作は危険です」と言われた後に動く
  • 「ここは痛みが出やすい場所です」と説明される

こうした情報が先に入ると、脳はその方向に反応しやすくなります。

結果として、

「本来は問題ない動きでも、痛みとして認識してしまう」

ことが起こります。


よくある悪循環

これらが組み合わさると、次のような流れが生まれます。

  1. 痛みを感じる
  2. 「また痛くなる」と不安になる
  3. 動きを避ける
  4. 身体がさらに過敏になる
  5. 少しの刺激でも痛みを感じる

この状態になると、

「痛みをコントロールしようとするほど、コントロールできなくなる」

という状況に陥ります。


解決の方向性

では、どうすれば良いのでしょうか。

ここで重要になるのが、

「コントロールできる領域に集中する」

という視点です。

具体的には、

  • 痛みを完全に消そうとしすぎない
  • 少しずつ安全な動きを増やす
  • 「危険ではない」という経験を積む

これにより、脳の過剰な警戒状態が徐々に緩んでいきます。


本質的な変化とは

慢性痛の改善は、

「痛みがゼロになること」を目指すと変化しにくくなる傾向があり、

「痛みに振り回されなくなること」

を目指すと変化しやすくなる傾向があります。

そしてそれは、

  • 身体だけでなく
  • 認知や行動も含めた変化

によって起こります。


まとめ

痛みは完全にコントロールできるものではないかもしれません。

しかし、

  • 痛みに対する解釈
  • 行動
  • 注意の向け方

は変えることができます。

そして、

コントロールできないものに執着するほど、痛みは強まり、
コントロールできるものに目を向けるほど、痛みは変化していく

という側面があります。


最後に

当院では、痛みを単なる「身体の問題」としてではなく、

  • 脳の働き
  • 思考や感情
  • 行動パターン

といった視点も含めて丁寧に整理しながら施術を行っています。

「なぜこの痛みが続いているのか」
「どうすれば変化していくのか」

を一緒に理解しながら進めていきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。


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