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オーストラリアで行われた一大キャンペーン 腰痛についての小冊子配布で腰痛に関わる医療費を大幅削減に成功!
欧米の研究者の間では、痛みについての新しい知識を患者さん自身に知ってもらうことで、腰痛など痛みの症状を、よりすみやかに楽にできるという確信が高まっているそうです。
オーストラリアで行われたキャンペーン
その確信に基づき、1997年にはオーストラリアのビクトリア州でメディアを使った 「腰痛に屈するな!」という啓発キャンペーンも行われました。
これは最新の科学的根拠に基づき、腰痛は重篤(重い)な疾患ではないこと、「レッドフラッグ」といわれる危険な兆候のない場合にはレントゲンやMRIなどの画像検査も不要であり、自然治癒が期待できること、また、腰痛があっても安静にしないで日常生活を維持し、仕事を続けること……など、腰痛についての新しい知識を啓発するものであり、『The Back Book』という小冊子を配布して広く一般に訴えかけました。
さらに、その冊子から抜粋したメッセージを新聞やテレビなどでも告知したところ、医療費を33億円も削減する結果となり、腰痛による欠勤日数なども減少したのです。
これはつまり、腰痛に関する正しい情報が与えられたことで、多くの腰痛患者が痛みの悪循環から逃れられたことを意味します。
逆にいうと、これまでは骨の変形や軟骨の摩耗、神経に対する圧迫を症状の原因とする損傷モデルを腰痛の「主犯」として考えていたために痛みの悪循環から抜け出せなかった患者さんも少なくない、ということでしょう。
日本でもNHK「腰痛治療革命」にて小規模の実験を実施
日本でも小規模ですが似たような実験を行っており、2015年末に放送されたNHKスペシャル「腰痛治療革命-見えてきた痛みのメカニズム-」の番組内で紹介されましたが、慢性腰痛を患っている方々に協力してもらい、「骨の変形や摩耗は痛みのない方にも普通に見られる」こと、「椎間板ヘルニアは自然治癒することが多い」など、一分間のショートムービーを五本、二週間にわたって見てもらいました。すると二週間後にはビデオを見ただけにもかかわらず、約40%の方の腰痛が改善しました。
また、一回三秒、腰に両手を添えて反らす運動をしてもらったところ、更に約20%の方が改善しました。
治療らしい治療はしていないにもかかわらず、です。
これらのことから、痛みの慢性化には「誤った思い込み」が強く関係していると考えられそうですね。
皆さんはどう思いますか?