
外反母趾
外反母趾は、文字通り足の親指の付け根の関節が外側へ反り、変形していく状態を指します。
この変形に伴い、痛みや可動域の制限が生じることがあります。
なお、小指が内側へ反る状態は内反小趾(ないはんしょうし)と呼ばれます。
外反母趾は女性に多い疾患として知られていますが、男性でも発症することはあります。
外反母趾はなぜ痛むのでしょうか?
一般的には、
- きつい靴やヒールの着用
- 扁平足やハイアーチ
- 内反足・外反足といった足のアライメント異常
- 関節軟骨の摩耗や骨の変形
などが原因と説明されることが多いですが、
実は軟骨の摩耗や骨の変形そのものでは痛みは発生しません。
外反母趾の痛みの本質は、
関節や軟部組織の状態を監視している受容器(センサー)の異常にあります。
これらのセンサーが過敏になったり誤作動を起こすことで、
- 痛み
- 違和感
- 可動域の制限
といった症状が現れるのです。
可動域は戻らなくても、痛みは改善することが多い
外反母趾では、
- 可動域がある程度改善するケース
- ほとんど変化しないケース
の両方があります。
しかし、痛みに関して言えば、多くの外反母趾で軽減、あるいは消失することが期待できます。
重要なのは、「変形を元に戻すこと」ではなく、
痛みを生み出しているセンサーの異常を正常化することです。
治療は「足の指」だけを見ない
外反母趾の治療では、
機能障害を起こしている関節や軟部組織のセンサーを正常な状態へ戻していくことで、
痛みが改善していくケースが多くみられます。
ここで大切なのは、
痛みのある場所=原因のある場所とは限らない
という視点です。
骨折や打撲など、実際に組織が損傷している場合は別ですが、
体に生じる痛みやしびれの多くは、筋肉に存在する痛みのセンサーの興奮によって起こります。
筋肉同士はネットワークのようにつながっているため、
- 足の親指が痛くても、膝の内側に圧痛点が見つかる
- あるいは、お尻の外側に圧痛点が存在する
といったことは珍しくありません。
そのため、
外反母趾が痛いからといって、足の指だけを治療しても十分な改善は得られません。
また、可動域訓練と称して痛みを伴う無理な運動を行うと、
かえって痛みが強くなったり、可動域の制限が悪化する可能性もあります。
外反母趾の痛みは「侵害受容性疼痛」
外反母趾による痛みは、
関節や軟部組織の受容器が障害を起こして生じる侵害受容性疼痛です。
そのため治療では、
- 足だけに注目するのではなく
- 腰や下肢全体
- 痛みのネットワークとして関与している部位
にも目を向ける必要があります。
外反母趾は、
「変形しているから仕方がない」「年齢のせい」と諦めるものではありません。
適切な評価と対応によって、痛みの改善は十分に期待できます。

