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椎間板ヘルニアについて
椎間板ヘルニアとは、椎骨と椎骨の間にある「椎間板」が外へ突出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを起こすと説明されることが多い疾患です。
この「突出→神経圧迫→痛み」という考え方は、20世紀初頭の Joel E. Goldthwait の報告以降、広く受け入れられてきました(腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン参照)。
しかし現在では、この説明だけでは痛みを十分に説明できないことがわかってきています。
画像所見と症状は一致しない
1995年、いわゆるボルボ賞を受賞した有名な研究では、
腰痛を経験したことのない人の76%に椎間板ヘルニアが見つかった
と報告されています。
さらに、手術をしてもしなくても、数年後の経過に大きな差がないという研究もあります。
つまり、
「ヘルニアがある=痛い」ではない
という事実が、すでに明らかになっているのです。
神経は“押されると痛む”のか?
生理学者として知られる 熊澤孝朗 先生は著書『痛みを知る』の中で、
神経線維は通常、末端の受容器からの信号を伝えるものであり、途中が興奮を起こすことはない
と述べています。
神経を強く圧迫した場合に起こるのは、一般的には「麻痺」や「感覚低下」であり、典型的な痛みやしびれとは性質が異なります。
では、なぜ痛むのか?
臨床現場で多く見られるのは、
筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイントによる痛み
です。
筋肉が過緊張し、うまく弛緩できなくなった状態ですね。
例えば、
- 重い物を長時間持ち続ける
- つま先立ちの姿勢が続く
こうした状態でも痛みやしびれは起こります。
これは神経圧迫ではなく、筋・筋膜由来の反応です。
「診断名」よりも大切なこと
椎間板ヘルニアと告げられても、
- 麻痺がない
- 排尿・排便障害がない
- 明らかな筋力低下がない
のであれば、過度に恐れる必要はありません。
むしろ問題になるのは、
「病名による不安」
です。
強い不安や恐怖は、痛みの増幅回路を活性化させ、回復を遅らせることが知られています。
思い込みは身体に影響する
人間の脳は、思い込みによって生理反応を大きく変化させます。
「重い病気かもしれない」という恐怖は、筋緊張を高め、自律神経を乱し、痛みを強めます。
逆に、
- 安心する
- 理解する
- 見通しが立つ
これだけでも症状が改善する方は少なくありません。
どうすればよいのか?
まずは、
- 古い“損傷モデル”一辺倒の考え方から離れる
- 痛みは脳と身体の相互作用で生じるという理解を持つ
ことが大切です。
実際に、ためしてガッテン や
NHKスペシャル でも、
椎間板ヘルニア=必ずしも心配ではない、という内容が紹介されています。
それでも痛みが続く場合
筋肉が過緊張し、硬くなっている可能性があります。
その場合は、
- 適切な運動
- 徒手療法
- リラクゼーション
- 心理的アプローチ
など、方法はいくつもあります。
まとめ
時代遅れの「構造だけを見る考え方」に縛られる必要はありません。
新しい知識を取り入れることで、
- 考え方が変わり
- 行動が変わり
- 身体の反応が変わる
行動が変われば、痛みも変わっていきます。
きっと。



