
日本人データが示す経済損失
日本人の約10~20%、およそ6人に1人が慢性疼痛を抱えていると報告されています。
これは医療の問題にとどまりません。
経営課題でもあります。
大阪大学の田倉智之氏らの報告(Journal of Orthopaedic Science 2015年)では、慢性疼痛が
- 健康状態の低下
- 医療資源の利用増加
- 日常生活活動の制限
- 労働生産性の低下
と有意に関連することが示されました。
つまり慢性疼痛は、
企業のパフォーマンスにも直結する要因なのです。
欠勤より深刻なのは“出勤している損失”
慢性疼痛は、
- 欠勤(アブセンティーイズム)
- 出勤しているが生産性が落ちている状態(プレゼンティーイズム)
の両方を引き起こします。
しかし経済的により深刻なのは後者です。
出勤はしている。
だが、
- 集中力が続かない
- 判断が鈍る
- ミスが増える
- パフォーマンスが落ちる
これらは帳簿には出ません。
けれど確実に利益を削ります。
慢性疼痛は“静かなコスト”です。
我慢は美徳ではなく損失
「痛いけれど仕事はできる」
この文化は、一見責任感に見えます。
しかし長期的には
- 医療費増加
- 離職率上昇
- パフォーマンス低下
につながる可能性があります。
痛みを放置することは、
企業にとっても合理的ではありません。
解決策は“集学的アプローチ”
慢性疼痛は身体だけの問題ではありません。
- 身体的因子
- 心理的因子
- 社会的因子
が絡み合います。
そのため、
生物心理社会的疼痛モデル に基づいた多面的な対応が必要です。
医療の充実だけでなく、
- 早期相談体制
- 職場環境の見直し
- 睡眠・運動・ストレス管理の支援
これらは投資です。
コストではありません。
慢性疼痛対策は「福利厚生」ではなく「経営戦略」
痛みの管理は、
- 従業員のQOL向上
- 医療費抑制
- 生産性向上
につながります。
慢性疼痛は、個人の問題ではなく、
企業と社会全体のテーマです。
“見えない痛み”に目を向けることが、
これからの経営には求められています。


