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構造と痛みは別に考える
「骨はくっついていると言われたのに痛い」
「捻挫から数か月たつのに、まだ違和感が残っている」
このようなご相談は少なくありません。
多くの方が
構造が治る = 痛みも消える
と考えていますが、実際はそう単純ではありません。
■ 構造の修復と痛みは一致しない
骨折は転位のリスクがあれば固定が必要です。
一方で、捻挫の多くは過度な固定を必要としません。
なぜなら、
- 構造(骨・靭帯)の修復
- 痛みの発生メカニズム
は、別のレイヤーで起きている現象だからです。
■ 痛みを生み出しているのは「センサー」
骨折や捻挫では、
- 皮膚
- 筋肉
- 靭帯
- 関節包
に存在する受容器(センサー)が関与します。
受傷直後には
- 高閾値機械受容器
- ポリモーダル受容器
が興奮状態になります。
臨床上、長引く痛みに深く関与しやすいのが
ポリモーダル受容器です。
■ ポリモーダル受容器とは
「ポリ」は“多くの”
「モード」は“様式”
つまり、さまざまな刺激に反応する受容器です。
- 機械的刺激
- 化学的刺激
- 熱刺激
など複数の刺激様式に反応します。
いわゆる「二次痛」に関わる受容器です。
この受容器が過敏なままだと、
構造が治っていても痛みが続くことがあります。
■ なぜ軟部組織へのアプローチが有効なのか
適切な刺激を軟部組織へ加えると、
- 軟部組織の緊張が緩和
- 局所循環の改善
- 交感神経緊張の低下
が起こり、結果として痛みが軽減します。
これは単なる「気持ちよさ」ではなく、
神経生理学的な反応です。
■ 痛みは早期から対処したほうがよい理由
痛みを放置すると、
- 神経の過敏化
- 防御的な筋緊張の固定化
- 動作パターンの変化
が進み、慢性化しやすくなります。
慢性化すると、
改善に時間がかかるケースが多いのが現実です。
だからこそ、
受傷直後から積極的に痛みに対処することが重要なのです。
骨折や捻挫は「構造の問題」だけではありません。
痛みは神経系の問題でもあります。
構造を整えながら、
痛みそのものにも目を向ける。
その両輪があってこそ、
本当の意味での回復に近づきます。



