
症例報告
同じ「変形」や「捻挫」という診断でも、
痛みの出方や経過は人それぞれです。
今回は対照的なお二人のケースをご紹介します。
変形性股関節症と腰痛 ― Aさんのケース
栃木県から来院されたAさん。
数年前から腰痛と股関節痛に悩まされていました。
病院では「変形性股関節症。手術が必要」と説明を受けています。
初回見た感じでは、
- 股関節の可動域制限
- 広範囲の圧痛
を認めました。
初期は施術への反応が鈍かったものの、
3回目でようやく改善傾向が見えてきました。
ポイントは、
- 痛みを過度に深刻に捉えすぎないこと
- 押して痛む筋のセルフケアを取り入れること
でした。
変形があっても、
痛みが軽減する方は少なくありません。
捻挫後に続く痛み ― Bさんのケース
千葉県から来院されたBさん。
足首の捻挫後、痛みが長く続いています。
所見は、
- 右足のびまん性浮腫
- 皮膚色調の変化
- 強い圧痛
臨床的にはCRPSが疑われました。
初回施術で皮膚の色調は改善。
圧痛や浮腫は残存しましたが、経過は悪くない印象です。
捻挫という“軽傷”からでも、
神経系の過敏化が起こることがあります。
変形がある人と、ない人の差は?
股関節が変形していても痛みがない方はいます。
逆に、変形が軽度でも強い痛みが出る方もいます。
「変形の程度の差」でしょうか?
おそらく、それだけでは説明できません。
手術を宣告された方でも、
保存的対応で痛みが軽減するケースは多くあります。
痛みの質を見極める
重要なのは、
- 急性痛の状態なのか
- 痛み回路が可塑化した慢性痛症なのか
- 動作恐怖が強いのか
- 不安が痛みを増幅していないか
- 痛みに対する理解が十分か
といった点です。
痛みは単なる構造問題ではなく、
神経系と心理社会的要素が絡み合っています。
修復=痛み消失ではない
多くの方は、
「組織が治れば痛みは消える」
と考えます。
確かにその通りになる場合もあります。
しかし、組織修復が完了しても痛みや腫れが残る方は少なくありません。
だからこそ、
- 組織損傷があればそれは治療する
- 同時に、痛みそのものにもアプローチする
この両輪が必要です。
痛みを構造だけで語らないこと。
それが、長引く痛みを減らす鍵になるのだと思います。



