
腰椎分離症という疾患があります。
椎体と椎弓の連続性が断たれた状態を指し、「疲労骨折」と説明されることが多いものです。原因としては、使いすぎ、外傷、先天的要素などが挙げられます。
レントゲンで分離部を見せられると、いかにも「これが原因だ」と思ってしまいますよね。
しかし、分離していても痛みがない人がいることはご存じでしょうか。
分離症は本当に痛みの原因か?
ある研究では、18~50歳の腰痛患者807名と健常者936名を比較したところ、脊椎分離症の検出率は
- 腰痛患者群:9.2%
- 健常者群:9.7%
ほぼ同じ割合でした。
つまり、「分離している=腰痛の原因」とは言い切れないのです。
さらに、画像検査で確認できる脊椎分離症、すべり症、変形性脊椎症などと腰痛との関連は明確ではなく、腰痛の85%以上は原因を特定できない「非特異的腰痛」とされています(van Tulderら)。
レントゲンやMRIに写る所見が、そのまま痛みの正体とは限らないということです。
青少年アスリートの場合
スポーツをしている青少年に分離症やすべり症が見つかると、将来を悲観的に説明されることがあります。
しかし、プロのバレエダンサーを対象にした研究では、約3割に分離・すべり症が認められたものの、腰痛発症率に差はありませんでした。
また、分離・すべり症があっても数年間のトレーニングで腰痛を生じなかった例も報告されています。
構造的変化があっても、必ずしも痛みと直結しないのです。
そもそも「いつ分離したのか?」
痛みが出た日に分離したのか、
それとも何年も前から存在していたのか。
それを証明することはできません。
分離症は疲労骨折といわれますから、発生直後は痛みを伴う可能性があります。
しかし時間が経過したものは、分離していてもいなくても、必ずしも痛みを生むとは限りません。
「くっつけること」だけに意識を向け続ける必要が本当にあるのでしょうか。
視点を広げる
腰痛は、
- 筋肉の緊張
- 神経系の過敏
- スポーツによる負荷の蓄積
- 不安や恐怖による防御反応
など、多くの要素が絡み合って起こります。
分離しているから痛い。
本当にそれだけでしょうか。
あなたの痛みは、本当に分離症だけが原因なのでしょうか。
構造だけにとらわれず、回復の可能性を広げていきましょう。



