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慢性痛とは
慢性痛とは、3か月以上続く、あるいは繰り返し起こる痛みを指します。
しかし近年の研究では、慢性痛は単なる「痛む部位の問題」ではないことが明らかになってきています。
慢性痛では、痛みそのものに加えて、
睡眠・感情・集中力・疲労感・自律神経など、全身的な変化が同時に起こることが少なくありません。
慢性痛でよく見られる症状・特徴
痛みの特徴
- 痛みが長引く、またはぶり返す
- 痛む場所が移動する、広がる、日によって変動する
- 身体的・精神的ストレスや睡眠不足で悪化しやすい
感覚の過敏化
- 軽い刺激でも痛みを感じる(服が触れる、軽い圧など)
- 痛み刺激に対して過剰に反応する
- 光・音・匂い・温度変化がつらく感じやすい
気象の影響を受けやすくなる
- 気圧の低下や天候悪化で痛みや不調が強くなる
- 寒暖差で関節痛・頭痛・古傷の痛みが出やすい
これは「気のせい」ではなく、
自律神経や中枢神経の調整力が低下している状態として説明されます。
睡眠の問題
- 寝つきが悪い
- 夜中に目が覚める
- 眠っても疲れが取れない
睡眠の質低下は、痛み・疲労・情緒不安定をさらに悪化させる要因になります。
気分・情動の変化
- 不安感、抑うつ気分、イライラ
- 痛みに対する恐怖や過度な警戒
- 気持ちが切り替えにくくなる
脳機能の変化
慢性痛では、脳の働きそのものにも変化が起こることが知られています。
前頭葉の働き低下
- 集中力・判断力の低下
- 感情や注意のコントロールが難しくなる
- 物事に取り組む際に強い疲労を感じやすい
扁桃体の過活動
- 不安や恐怖への反応が過剰になる
- 痛みを「危険」として強く記憶しやすくなる
この状態では、脳が常に警戒モードになり、心身が休まりにくくなります。
認知機能の低下(ブレインフォグ)
- 頭がぼんやりする
- 考えがまとまらない
- 集中が続かない
「読書しにくくなる」
- 文字を追っても内容が頭に入らない
- 同じ行を何度も読み返してしまう
- 数分読んだだけで疲れる
これは加齢や性格の問題ではなく、
前頭葉の負担増大と注意制御の低下による、慢性痛に伴う典型的な症状の一つです。
エネルギー低下・疲労
- 強い倦怠感
- 休んでも回復しにくい疲れ
- 活動量が自然と減っていく
身体のこわばり・防御反応
- 筋肉が緊張し続ける
- 力が抜けない
- 触られること自体がつらい
大切なこと
これらの症状は、
「気のせい」や「根性不足」ではありません。
慢性痛とは、
脳と神経が長期間がんばり続けた結果として起こる状態です。
そして脳と神経は、
適切な理解とアプローチによって回復が可能な臓器でもあります。
痛みだけを見るのではなく、
睡眠・感情・生活背景・安心感を含めて整えていくことが、
慢性痛改善の重要な土台になります。
ここまで読んで、
- 「自分の状態に当てはまる気がする」
- 「痛みだけの問題じゃないのかもしれない」
- 「ちゃんと説明してもらえたのは初めてかも」
そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。
当院では、
「どこが悪いか」だけを探すのではなく、
「なぜ体と神経が回復しにくくなっているのか」
という視点を大切にしています。
初診で行っていること
初回では、いきなり施術に入ることはしません。
- 痛みが始まった経緯
- これまでの治療歴
- 睡眠・疲労・生活リズム
- 天候やストレスとの関係
- 痛みに対する不安や考え方
などを丁寧にお聞きし、
今の状態を一緒に整理することを重視しています。
多くの方が
「話を聞いてもらっただけで少し楽になった」
とおっしゃるのは、
脳と神経が“安全だ”と感じ始めるからです。
施術について
施術は、
- 強い刺激
- 無理な矯正
- 痛みを我慢させる方法
を目的としたものではありません。
身体・神経・呼吸・注意の向き方などを通して、
過剰に頑張り続けている状態を少しずつ緩めていく
ことを目指します。
最後に
慢性痛は、
「年齢のせい」「気持ちの問題」「一生付き合うもの」
と片付けられてしまうことが少なくありません。
ですが実際には、
理解され、整理され、適切に関われば変化する余地のある状態です。
もし、
- 原因がはっきりしない痛みで悩んでいる
- いろいろ試したが改善しなかった
- このまま我慢し続けるのはつらい
そう感じているなら、
一度ご相談ください。
※日本では、慢性痛に対する考え方や治療の枠組みが、
諸外国に比べて20〜30年ほど遅れていると言われています。
そのため、
「今も主流として語られている説明」が、
実は海外ではすでに見直されているケースも少なくありません。
情報そのものが間違っているのではなく、
その情報が“どの時代の考え方なのか”が共有されていないことが、
慢性痛が長引く一因になっています。




