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急性痛と慢性痛
痛みには、大きく分けて
急性痛と慢性痛があります。
今回ご紹介したような
重い物を持ったあとに出現した下肢痛は、
いわゆる急性痛に分類されます。
この段階では、
体はまだ「回復する力」を十分に持っています。
なぜ、痛みは慢性化してしまうのか
本来、痛みは
体を守るための警報装置です。
ところが、次のような要素が重なると、
痛みは「治癒のサイン」から
「習慣化した反応」へと変わっていきます。
- 痛みが長期間続く
- 「原因不明」「異常なし」と言われ続ける
- 動くことへの不安や恐怖が強くなる
- 周囲に理解されないストレスが重なる
すると、体は
👉 「もう治ったかどうか」ではなく
👉 「危険かどうか」を基準に反応するようになります。
これが、慢性痛の入り口です。
慢性痛では、体そのものが変わるわけではない
多くの方が誤解していますが、
慢性痛の多くは
組織が壊れ続けている状態ではありません。
むしろ、
- 筋肉や関節の状態は大きく変わっていない
- 画像検査でも説明できない
- それでも痛みだけが残る
というケースが非常に多く見られます。
これは
👉 神経系や脳が「痛みを出しやすい状態」に学習してしまった
と考えると理解しやすいでしょう。
急性期に大切なのは「不安を増やさないこと」
今回の症例では、
レントゲン検査で異常を指摘されなかったことが
結果的にプラスに働いた可能性があります。
急性期に、
- 必要以上に怖がらせない
- 「壊れていない」という安心材料を伝える
- 体が回復できる余地を残す
これだけで、
痛みが慢性化するリスクは大きく下がります。
逆に、
「神経がやられているかもしれない」
「このまま一生治らないかもしれない」
といった不安が強まると、
痛みは長引きやすくなります。
慢性痛は「体の弱さ」ではありません
慢性痛の方は、
決して我慢が足りないわけでも
意志が弱いわけでもありません。
むしろ、
- 体を守ろうとする反応が強く出すぎた結果
- 脳と神経が過敏になった結果
として起こっていることがほとんどです。
この考え方は、
近年の慢性痛に関する研究や臨床現場でも、
共通して示されています。
まとめ
― 慢性化を防ぐために ―
- 急性痛の段階では、体はまだ回復できる
- 痛みが長引く最大の要因は「不安」と「恐怖」
- 慢性痛は壊れた体ではなく、過敏になった反応
「この痛みはどういう性質なのか」
「今、何を心配する必要があって、何は心配しなくてよいのか」
それを正しく整理することが、
慢性化を防ぐ最初の治療になります。

