
メンタルタイムトラベルとは
街を歩いていると、ふと懐かしい曲が流れてくる。
どこかで嗅いだことのある香りが漂ってくる。
その瞬間、過去の出来事やその時の感情が鮮明によみがえる…
そんな経験はありませんか。
この現象は「メンタル・タイムトラベル」と呼ばれています。
私たちは実際に時間を遡ることはできませんが、
脳は記憶を手がかりに過去の体験を“再体験”することができます。
記憶とドーパミン
メンタル・タイムトラベルの際、
脳内ではドーパミンが関与している可能性が示唆されています。
ドーパミンは、
- 側坐核
- 前頭前野(前頭連合野)
などを含む報酬系と呼ばれるネットワークで働く神経伝達物質です。
嬉しいことや達成感を感じたときに活動が高まり、
意欲や行動のエネルギーにも関わっています。
慢性痛と報酬系
慢性的な痛みが続いている方では、
この報酬系の機能が低下している可能性が指摘されています。
特に側坐核は、
痛みの調節にも関わる重要な部位です。
本来、身体に異変が起きると脳に信号が届きますが、
その際に痛みを抑える方向の調整も同時に行われます。
しかし、
- 慢性的なストレス
- 抑うつ傾向
- 喜びの減少
などが続くと、報酬系の働きが弱まり、
痛みを抑える機能も低下する可能性があります。
その結果、同じ刺激でも痛みを強く感じやすくなることがあります。
意図的に“良い刺激”を入れる
だからこそ、
- 懐かしい音楽を聴く
- 楽しかった記憶を思い出す
- 嬉しい出来事を再体験する
こうした時間を意識的につくることは、
脳の報酬系を活性化させる一助になるかもしれません。
これは単なる気休めではなく、
脳の働きという視点から見ても理にかなった行動です。
痛みは脳の状態にも影響される
痛みは身体だけでなく、脳の状態とも深く関わっています。
懐かしさや喜びを感じる時間を持つことは、
痛みを抱える脳にとっての“栄養”になる可能性があります。
日常の中で小さな楽しみを見つけること。
それが、回復への一歩になるかもしれません。



