テニス肘の原因 治療と対策を考える
ポイント

テニス肘とは上腕骨外(内)側上顆炎とも言い、肘が痛くなる障害です。
物を持ち上げたり、引っ張ったり、雑巾を絞るなど、力を入れた際に痛みが発生します。
多くの場合動かさなければ痛みはありませんが、酷くなると安静にしていても痛む場合があります。
テニスをする方に多く発症するのでテニス肘と言われていますが、スポーツに限らず、手作業を多くする方などにも発症します。
多くの場合筋肉の緊張のしすぎが原因ですから、筋肉を柔らかくするようにしましょう。
長引く場合は他に疾患が無いか、心理社会的要因は無いかチェックするようにしましょう。

テニス肘とは

テニス肘とは肘の内側や外側が力を入れた際に痛む障害で、テニスをする方に多く見られることからその名前がついていますが、その他にもバドミントンや卓球などのスポーツでも発症します。
また、手作業が多い方や重い調理器具を扱う方にも見られ、日常生活の動作でも発症します。

ポイント

テニス肘って名前ですが、どんな動作してもなる人はなります。

テニス肘の痛み

テニス肘の痛み、症状は手に力を入れた際に発生することが多く、ラケットを振った際に、物を引っ張った時に痛みを感じることが多いです。
痛みが出る場所は外側型なら外側、上腕骨外側上顆、内側型なら上腕骨内側上顆という部位付近に出ます。

テニス肘の痛みは筋肉の過緊張(緊張のしすぎ)

テニス肘の痛みは多くが筋肉の過緊張から発生します。
その場合、筋肉に圧痛点、押すと痛いところがありますが、その場所をほぐすことによって楽になっていきます。

ポイント

多くの場合筋肉の緊張のしすぎが続いて発症します。
筋肉の緊張=原因 ☓
筋肉の緊張=結果 ◯

痛みが発生するのは多因子が複雑に絡み合う 筋肉の緊張による痛みは結果

痛みが短期間で改善するならば心配はいりませんが、なかなか改善しなかったり、改善してもすぐに再発するようであれば下記のポイントに注意しましょう。

  1. 使いすぎ
  2. 使い方の間違い
  3. 疲れすぎ
  4. 寝不足
  5. 痛みが長引いて痛みのシステムが変化している
  6. 心理社会的問題
  1. 個人差が大きいですが、肘を使い過ぎている場合はできるならば使用頻度を抑えたり、負荷を軽くするようにしましょう。
  2. 使い方を間違えている場合、スポーツなら正しい自分に合ったフォームを身に着けましょう。
  3. 体が疲れていると回復もうまくいきませんから、疲れていると感じたら充分に休息をとるようにしましょう。
  4. 寝不足が続くと体の回復力が低下しますので痛みの回復も思わしくなくなります。日本人はOECD加盟国の中で一番睡眠時間が短いことがわかっています。できれば7時間は寝るようにしたいところです。
  5. 筋トレをすると筋肉が発達するように、痛みもずっと伝え続けていると痛み系が発達してしまいます。いわゆる慢性痛です。慢性痛になった場合は急性痛とは対処を変える必要があります。
  6. 長引く痛みの要因に心理社会的な問題があります。悩みがある、人間関係でトラブルを抱えている、我慢している、痛みに対して間違った考え方や思い込み、対処をしているなど、なかなか治らない場合は心理社会的な要因もチェックするようにしましょう。
ポイント

痛みの原因を使いすぎや怪我に求めがちですが、最近の流れはライフスタイル、生活習慣に原因があるという流れになっています。

・睡眠不足
・疲労蓄積
・大きなストレス(強く我慢している等)

は痛みの発生と慢性化に大きく関与していると言われています。
すぐに改善せず、なかなか改善しない方、改善しても繰り返す方は生活習慣をできる限り改善してみてはいかがでしょうか。

改善・治療には筋肉をほぐす、脱力することによって痛みセンサーが沈静化

長引く場合は生活習慣を見直そう

痛みが長引く場合は整形外科や治療院に通うのもいいですが、生活習慣も見直した方がいいかもしれません。

大まかには
・睡眠時間
・決まった時間に寝起き(サーカディアンリズム)
・運動する
・しっかり栄養を摂る
・体の力を抜く
を挙げることができます。

睡眠が体の回復に大事なのはここで説明するまでもなさそうですが、睡眠不足や過労から起こる心身の疲労状態では痛みを感じやすくなることがわかっています。
簡単に説明するといつもは1-2位の痛みが具合によって4-5とか7-8など、強く感じてしまう状態になります。

ドイツのハイデルベルグ大学の研究でも寝不足は痛覚過敏を起こすことが判明しています。
また、OECD(経済協力開発機構)調べで日本人は睡眠時間が加盟国中一番短いことがわかっています。
睡眠には疲労回復、身体の成長、免疫力増加などの役割があり、睡眠不足や睡眠障害があると、倦怠感だけでなく、交通事故の増加、仕事の生産性や学業の低下をももたらし、さらには痛みの悪化、生活習慣病やうつ病の誘因、増悪を起こすといわれています。
さらに、6時間睡眠を1週間続けると、1日徹夜したのと同じくらいパフォーマンス能力が下がるという研究結果が近年発表されています。まるで借金のようにじわじわ積み重なるため、「睡眠負債」と名付けられています。

また、平日仕事などで睡眠時間が確保できない分、休日にまとめて長時間睡眠をとる方が散見されますが、これは逆に体内時計(サーカディアンリズム)を崩すきっかけになりえますので、お勧めできません。
休日でも朝日を浴びることができる時間に起床し、夜は早めに寝ましょう。朝日を浴びることが体内時計をリセットしてリズムを整えてくれます。

ポイント

痛みが長引く場合は生活習慣を見直し、筋肉を柔らかくしましょう。

体を動かそう

痛みがあると医療従事者などに安静を指示されて安静にしてしまいがちですが、全く動かなくなるのも考えものです。
体を動かすと脳内からエンドルフィンという鎮痛に働くホルモンや、筋肉からはマイオカインというやはり鎮痛に働くホルモンが放出されることがわかっています。
テニスにこだわらず、体はできるだけ動かして気分転換を図るようにしましょう。

しっかりと栄養を摂りましょう

朝起きられない、一日中眠い、なんとなくだるい、疲れがとれない、気分の浮き沈みが激しいなど、痛みを抱えている方だけではなく、なんとなく体の不調を感じ取っている方は大変多いと思います。

周りを見渡せばコンビニ、スーパー、デパ地下などは、あらゆる食べ物で溢れかえり、とてもこの日本で栄養欠乏があるとは思えませんが、今、栄養欠乏が問題になっていることをご存知でしょうか。

食べる量は満たされていても、質が満たされておらず、タンパク質、ビタミン、ミネラルの不足により、なんとなく調子が悪い状態を栄養失調といいます。精神的に調子が悪い、慢性的に体が痛い方は、この栄養失調に当てはまる方が多いのではないかと思います。

タンパク質摂取の年次推移(厚生労働省)を見ると、年々摂取量が減少していることが分かります。
鉄に至っては1950年に一日あたり約46㎎摂取していたのが2003年時点では約8㎎まで減少しています。

約6分の1ですね。

身体の筋肉は多くがタンパク質でできていますし、多くのホルモンや酵素もまたタンパク質からできていますから、タンパク質の摂取量が少ないことで、少なからず影響が出ることは想像しやすいでしょう。

鉄はセロトニン(心の安定に関与)やドーパミン(やる気等に関与)を作る際に必要となります。また、エネルギー代謝にも関与していて、不足するとうまくエネルギーを産生できなくなります。

厚生労働省ではタンパク質の一日あたりの推奨摂取量を、左の表のようにしていますが、果たしてこれを満たしている方はどのくらいいるのでしょうか。

100グラムの肉を食べれば100グラムのタンパク質が摂取できると勘違いされている方が多いのですが、そうではなくタンパク質を10グラム摂取するためには牛肉では65グラム、豚肉83グラム、鶏肉55グラム、チーズ50グラム、豆腐330グラムと、摂取グラム数=摂取タンパク量ではないことを知っていてほしいと思います。

たとえば、体重50キログラムの方で50グラムのタンパク質を摂取しようとした場合、牛肉では一日325グラム、豚肉415グラム、鶏肉275グラム、チーズ250グラム、豆腐1650グラムを摂る必要があるわけです。
1日や2日ならなんとかなりそうですが、これが毎日となると、とてもじゃないですが続きそうにないですね。

また、野菜も近年栄養素の低下が指摘されており、なるべく旬の野菜を食べるなどの工夫が必要です。

体や心の調子が優れない時に、「心を落ち着かせる方法」や「体の力を抜く方法」、「認知行動療法」のほか、「カウンセリング」や「治療」なるものをしてもいい結果が出ない場合には、栄養失調である可能性も考慮するとよいかもしれません。
体を維持するための材料が枯渇している状態では、どのような手段を講じたところで、回復が望めないということです。

ポイント

よく寝て、よく動かして、しっかりと栄養を摂りましょう。

みるみる力が抜けるフォーカスリラクゼーションなど

体の力を抜くことに関しては色々な方法がありますが、うちでオススメしているのは

  • フォーカスリラクゼーション
  • 自律訓練法
  • ジェイコブソンの漸進的筋弛緩法

です。
フォーカスリラクゼーションについてはこちら
ジェイコブソンの漸進的筋弛緩法と自律訓練法についてはこちら
を参考にしてください。

心理的な状態が痛みの感じ方に影響を与える

「慢性痛はどこまで解明されたか」(昭和堂)という本には心理的な状態などが痛みの感じ方に与える影響について書かれています。
これはこれまでの様々な研究から導き出されたものですが、次に引用しますので参考にしてみてください。

①交感神経の興奮状態にある時(激しい運動、精神的興奮など)は痛みを感じにくい。

②痛みに対する注意集中、精神的とらわれは痛みを増強するが、逆に別の症状に気が向いている時は痛みを感じにくい(症候移動 syndrome shift)。

③不安や気分の落ち込みを改善させ、心身のリラクゼーションをはかることは痛みの閾値を上げる。

④苦痛をともなう行動でも積極的かつ意欲的に取り組めば苦痛は軽減する。

⑤予期不安(痛みが強いのでは、痛みに耐えられないのでは、という来るべき痛みに対する不安)や
恐怖感がある時の痛みは強い。

⑥睡眠不足や過労などから起こる心身の疲労状態でも痛みの閾値が低下し、痛みに対する耐性も低下する。

⑦他人に対する怒り、敵意、攻撃心、腹立ち、恨みなどの表出が十分になされず、それらが内向して自罰傾向をとると、痛みがより増強されることがある。

慢性痛はどこまで解明されたか 昭和堂

引用文中にある「痛みの閾値」とは、痛みを自覚するようになる最小限の刺激の強さのことです。

そこで、③の「心身のリラクゼーションをはかることは痛みの閾値を上げる」というのは、心身がリラックスすることで痛みを感じにくくなるという意味に、⑥の「睡眠不足や過労などから起こる心身の疲労状態でも痛みの閾値が低下」というのは、心身が疲れると痛みを感じやすくなる、という意味になります。

①の「交感神経の興奮状態にある時(激しい運動、精神的興奮など)は痛みを感じにくい」という記述はこれまでの説明と矛盾するように思えますが、これは、激しい運動の最中や精神的な興奮をしているとき、一時的に痛みを感じにくくなるという意味で、たとえばボクサーが試合中に殴られても痛みを感じないといった現象がこれです。 ただ、これはあくまでも特殊な状況でのことであり、日常的に交感神経が興奮しているような場合には、むしろ痛みは感じやすくなります。

首や腰、肘や膝の痛みで悩んでいる方は多いですが、病名はそれほど問題ではないんですよね。
多くの場合、生活習慣や考え方、栄養、心理的な状況が影響した結果、心や体が緊張して耐えきれなくなって発生したのが痛みです。場所関係なく、そういった表現がされているんですよね。
ですからそれを改善しようとすると、方法は同じ様になってきます。

整形外科や接骨院などの治療院に通うのもいいですが、なかなか改善しない場合、改善しても繰り返す場合は生活習慣や考え方を少しずつでも変化させた方が今後を考えるといいかと思います。

ポイント

心理的な状況が痛みの感じ方に影響を与えます。

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