
―「神経の異常」とは限らないケース―
60代女性の症例です。
3週間ほど前、重い物を持って歩いたあとから左下肢に痛みが出現しました。
整形外科を受診しレントゲン検査を受けましたが、画像上は異常なし。
その後当院に来院され、左腰部と左股関節の痛みを訴えていました。
当院では
- 関節の腫れ
- 可動域の制限
はみられましたが、しびれや筋力低下などの神経脱落症状は認められませんでした。
この経過と所見から、**筋膜性疼痛症候群(MPS)**の可能性を考え、施術を行いました。
施術後の経過
施術直後は「少し軽くなったかな」という程度の変化でしたが、
数日後には痛みはほぼ消失したとのことです。
重い物を持ったことで、
👉 筋肉や筋膜に一時的な負荷がかかり
👉 痛みとして表に出た
と考えられるケースでした。
急性痛と慢性痛の違い
今回のような比較的急性の痛みは、
- 適切な評価
- 必要以上に怖がらせない説明
- 体が回復できる環境づくり
がそろうと、比較的スムーズに改善することが多いです。
一方で、痛みが長期化すると
「不安」「恐怖」「誤った思い込み」
が加わり、回復に時間がかかることもあります。
「画像に異常がない」ことの意味
この方の場合、
レントゲンで異常を指摘されなかったこと自体が、回復を後押しした可能性もあります。
「異常がないと言われると、逆に不安になる」
という方もいらっしゃいますが、
👉 画像に異常がない=深刻な損傷がない可能性が高い
という見方もできます。
下肢痛=神経の異常、ではありません
下肢の痛みがあると
「神経がやられているのでは?」
と心配される方が多いのですが、必ずしもそうではありません。
実際、椎間板ヘルニアは
症状のない健常者の約76%にも見つかった
という報告があります。
つまり、
👉 画像上の変化 = 痛みの原因
とは限らないのです。
このような研究は、PubMed にも多数報告されています。
まとめ
- 画像に異常がなくても、痛みは起こります
- 下肢痛が必ず神経の問題とは限りません
- 体の状態を正しく評価し、必要以上に不安を増やさないことが大切です
「原因が分からない痛み」で悩んでいる方ほど、
“異常がない”という情報を、前向きに使う視点が回復の助けになります。



