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今、痛み医療は大きく変わろうとしています
いま、日本の痛み医療には大きな変化が起きています。
「パラダイムシフト」とは、これまで常識とされてきた考え方が大きく転換することを指します。
長年、痛みの原因は
「骨の変形」
「椎間板の潰れ」
「神経の圧迫」
と説明されてきました。
しかし近年の研究は、画像所見と痛みは必ずしも一致しないことを示しています。
画像検査と痛みの関係
1950年代に行われた比較研究では、腰痛のある人とない人をそれぞれ100名集め、レントゲンを比較したところ、両群に同程度の変形が見られました。
さらに、レッドフラッグ(腫瘍・感染・馬尾症候群など重大疾患の疑い)がない患者に対し、早期にレントゲン・CT・MRIを行っても、臨床的な転帰は改善しないことが複数の研究で示されています。
これらの結果は、各国の腰痛診療ガイドラインにも反映されています。
もちろん画像検査が不要という意味ではありません。
命に関わる病気を見逃さないためには重要です。
しかし、多くの一般的な腰痛や慢性痛では、画像は治療成績を左右しないことがわかってきたのです。
損傷モデルから生物心理社会モデルへ
かつては「損傷=痛み」という考え方が主流でした。
しかしこの考え方だけでは慢性痛は十分に改善しませんでした。
現在、国際疼痛学会などが提唱しているのが
生物心理社会的疼痛モデル
これは、
- 生物学的要因(身体)
- 心理的要因(感情・思考)
- 社会的要因(人間関係・仕事・環境)
これらが相互作用して痛みが形成されるという考え方です。
痛みは「壊れた部品」ではなく、
脳と身体が作り出す体験として理解されるようになってきています。
痛みを慢性化させる要素
慢性痛には、
- 不安や恐怖
- 思い込み
- うつ傾向
- 栄養状態
- 睡眠不足
- 仕事満足度
- 疼痛行動
などが複雑に関与します。
これらを整えていくことが、改善への近道になります。
痛みを知ることは治療になる
研究では、痛みの教育(Pain Education)だけで痛みや不安が軽減することが示されています。
読書療法はその一つの方法です。
知識を得ることで
- 「壊れている」という誤解が減る
- 恐怖が和らぐ
- 行動が変わる
結果として痛みが軽減することがあります。
日本は今、変化が求められている
日本は急速な少子高齢化社会に向かっています。
医療費の増大は大きな社会課題です。
不要な医療に依存するのではなく、
自分で回復力を育てる医療へ。
これは個人にとっても、社会にとっても重要な視点です。
言葉は身体に影響を与える
「私はヘルニアだから治らない」
「私はもう年だから仕方ない」
こうした言葉は、無意識に行動を制限します。
言葉が変わると、認識が変わります。
認識が変わると、行動が変わります。
行動が変わると、結果が変わります。
痛みの治療は時間との勝負
慢性化させないためには、
正しい知識と早めの行動が重要です。
当院では、生物心理社会モデルに基づき、
身体だけでなく、思考や生活背景も含めてサポートしています。
快適な生活を取り戻すために、
一緒に一歩を踏み出してみませんか。


