
埼玉県内よりお越しのAさん。
4月にぎっくり腰を起こして以降、なかなか改善せず、次第に左足全体へ痛みが広がっていきました。
近医を受診すると、診断は「腰椎椎間板ヘルニア」。
不安になりますよね。
初見時の状態
当院初回来院時、
- 腰の伸展制限あり
- 神経脱落症状なし
本日3回目の施術で、ほぼ問題ない状態まで改善しています。
残っている痛みも時間の問題でしょう。
Aさん、本当によかったですね。
では、ヘルニアは原因だったのか?
画像上、椎間板ヘルニアは確かに存在していたのでしょう。
しかし――
今回はそれが痛みの直接原因ではなかった可能性が高い。
これは特別な話ではありません。
日常的に起きていることです。
研究が示す事実
症状のない方を対象にMRI検査を行った研究では、
- 76%に椎間板ヘルニア
- 85%に椎間板変性
が確認されています。
また、腰痛未経験者67名を調べた研究でも、
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
といった構造異常はごく一般的な所見であることが示されました。
年齢を重ねれば、変形や変性は自然な現象です。
「ある=原因」とは限りません。
圧迫すれば痛むのか?
よく言われる説明があります。
「ヘルニアが神経を圧迫しているから痛い」
では――
足の裏の神経は?
坐骨神経は?
私たちは日常的にかなりの圧力を神経にかけていますが、常に痛みが出るわけではありません。
痛みの生理学で知られる 熊澤孝朗 氏は、
健康な神経は、圧迫しても痛みは発生しない
と述べています。
また、ゲートコントロール理論で有名な Patrick Wall は、著書『疼痛学序説』の中で
ヘルニア神話は終わった
と記しています。
痛みの正体
多くの運動器の痛みは
侵害受容性疼痛(痛みセンサーの興奮)です。
構造物そのものではなく、
- 関節の機能障害
- 神経の感受性
- 筋緊張
- 反射機能の異常
こうした機能的変化が痛みを生みます。
ヘルニアがあっても、回復する
椎間板ヘルニアが存在していても、
- 痛みが軽減する人
- しびれが消える人
- 普通に生活できる人
は多数います。
画像と症状は、必ずしも一致しません。
まとめ
- ヘルニアは“存在”することはある
- しかし、それが必ず痛みの原因とは限らない
- 圧迫=痛みではない
- 痛みは機能的変化で説明できる場合が多い
「ヘルニアだから治らない」
その思い込みこそが、回復を遠ざけることもあります。
構造を見ることは大切です。
しかし、それだけでは痛みは説明できません。



