
実は筋膜性疼痛症候群だったケース
川口市からお越しのAさん。
今年3月頃から両手に痛みが出現。7月にはしびれも加わり、医療機関で「手根管症候群」と説明されました。経過が悪ければ手術、とも。
振動工具を長時間使用するお仕事とのこと。
9月に来院された時には、
- 両手指は途中までしか屈曲できない
- 握力測定不能
- 両手の血行不良(チアノーゼ様)
という強い症状がありました。
しかし、
- 明らかな筋萎縮なし
- 神経脱落を示す明確な所見なし
当初は重篤な神経疾患やCRPSも念頭に置き、専門科受診を勧めました。
■ 検査では異常なし
その後、
- 神経伝導速度検査:異常なし
- MRI:異常なし
原因不明との診断。
ここで改めて、機能面からの評価を行いました。
■ 筋の過緊張という視点
ご本人の了承を得て、前腕から手部にかけての筋緊張を緩めるアプローチを開始。
すると2回目の施術から変化が現れ、
4回目の施術前には「両手が元通り握れるようになった」とのこと。
症状は大幅に改善。
■ 神経か、環境か
「神経の病気」と言われた症状でも、
- 筋緊張の持続
- 血流低下
- 局所の酸素不足
- 感作状態
によって似たような症状が出ることがあります。
今回のケースは、結果的に
筋膜性疼痛症候群(MPS) による機能障害だった可能性が高いと考えられます。
筋肉という“環境”が悪化すると、
神経そのものが壊れていなくても、
うまく働けなくなることがあるのです。
■ 振動と過緊張
振動工具の長時間使用は、
- 筋の持続収縮
- 血管収縮
- 末梢循環障害
を引き起こしやすい環境です。
これが慢性的に続けば、
しびれや握力低下のような症状が出ても不思議ではありません。
■ 今回の学び
当初は重篤疾患も疑いました。
慎重な判断は必要です。
しかし、検査で異常がなく、
機能的評価で改善反応が明確であれば、
筋の過緊張という視点は非常に重要です。
Aさん、残りの症状も順調に回復していくと良いですね。
神経性と言われた痛みやしびれでも、
実は筋肉の問題だった。
このようなケースは決して珍しくありません。
身体は、壊れているのではなく、
“うまく働けない状態”になっているだけの場合もあるのです。



