腰痛における危険信号(レッドフラッグ)

腰痛は、生涯で多くの人が経験する非常に一般的な症状です。各国で腰痛診療ガイドラインが作成されており、日本でも近年改訂版が公表されました。

急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)の多くは、特別な治療をしなくても2週間以内に自然に軽快します。実際、およそ9割は経過とともに改善すると報告されています。

しかし一方で、ごく一部では内臓疾患、悪性腫瘍、感染症、骨折など、重篤な疾患が背景に隠れている場合があります。

そこで重要になるのが「レッドフラッグ(危険信号)」の確認です。


レッドフラッグとは?

レッドフラッグとは、「重大な疾患が隠れている可能性を示唆するサイン」のことです。

具体的には以下のような項目が挙げられます。

  • 高度な外傷歴(交通事故・高所転落など)
  • 安静にしていても強い痛みが続く(夜間痛など)
  • 悪性腫瘍の既往
  • 原因不明の体重減少
  • 発熱や全身倦怠感
  • 長期ステロイド使用歴
  • 免疫抑制状態
  • 膀胱直腸障害やサドル麻痺(馬尾症候群の疑い)
  • 明らかな神経症状の進行 など

腰痛に重大な疾患が隠れている確率は数%程度とされていますが、これらに該当する場合は画像検査や血液検査などを行い、慎重に評価することが推奨されています。


レッドフラッグがなければ?

レッドフラッグに該当しなければ、多くの場合は心配の少ない「非特異的腰痛」です。過度に不安になる必要はありません。

いわば“グリーンライト”。
適切に体を動かしながら経過をみることで、自然に改善していくケースが大半です。


それでも長引く場合は?

レッドフラッグがなく、検査でも大きな異常が見つからないのに痛みが続く場合は、次に「イエローフラッグ」を考えます。

イエローフラッグとは、心理社会的要因のことです。

  • 痛みに対する強い不安や恐怖
  • 「動くと悪化するのでは」という思い込み
  • 職場や家庭のストレス
  • 睡眠不足
  • 抑うつ傾向

これらは痛みを長引かせる要因になります。

腰痛は単なる“構造の問題”ではなく、生物・心理・社会の影響を受ける症状です。
身体だけでなく、考え方や生活環境も含めて全体を見ていくことが、回復への近道になります。

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