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ホスファチジルコリンの豊富な食事を摂ることが、認知症のリスク低下と関連していることが初めて明らかになった。今回の調査では、ホスファチジルコリンの主な供給源は卵と肉だったという。東フィンランド大学の研究。

ホスファチジルコリンを構成する成分のひとつ、コリンは必須栄養素とされ、多様な食品中に様々な形で含まれている。

コリンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの形成にも必要だ。以前の研究では、コリン摂取と認知処理の関連が指摘され、適切なコリン摂取が認知機能低下とアルツハイマー病の予防効果のある可能性が示されている。実際、米国でコリンは、初期アルツハイマーの改善を期待して栄養ドリンクに配合されるなどしている。

この研究は、「クオピオ虚血性心疾患危険因子研究(KIHD)」のデータを用いて行った。KIHDは、研究開始時点(1980年代中~後半)に42-60歳であったフィンランド人男性2500人あまりを対象としている。食習慣・生活習慣と健康状態の把握を行い、平均22年間フォローアップした後、被験者の受診記録、死因の記録、および保険調剤記録のデータと統合した。研究開始から4年後には、約500人の男性が記憶と認知処理を測定するテストを行っている。なお、研究機関中に認知症を発症したのは337人だった。

結果、被験者の総コリン摂取量は平均431mg/日、ホスファチジルコリンは188mg/日だった。被験者のうち食事から摂取するホスファチジルコリンの量が下位25%の群と比較して、上位25%の群の認知症リスクは28%低いことが示された。一方で総コリン摂取量は認知症の発症リスクとの関連はみられなかった。また、総コリン摂取量とホスファチジルコリン摂取量が上位25%の群では、記憶力と言語能力のテストでもポイントが高かったという。

なお、データの解析にあたっては、結果に影響を与え得る様々な交絡因子を調整した。アルツハイマー病の素因となる、フィンランド人によくみられるAPOE4遺伝子の影響も検討したが、結果にはほとんど影響がなかった。なお、対象者が食事から摂るホスファチジルコリンの主な供給源は、卵(39%)と肉(37%)だったとのことだ。

世界中で5000万人以上が認知症による記憶障害に苦しんでおり、高齢化に伴いさらにその人数が増加するとの予想がなされていることを考えると、これらの発見は重要である。アルツハイマーは認知症の主因であるものの、残念ながら現在のところ治療法がない。したがって、この新しい発見は認知症の予防に重要な役割を果たす可能性がある。

「しかし、これは単にひとつの観察研究に過ぎず、最終的な結論を導き出すにはさらなる研究が必要です」と、筆頭著者のユリラウリ氏は指摘している。

<参考>日本の食事摂取基準2015年版ではコリンについての定めはないが、米国の食事摂取基準では目安量として成人男性で550mg/日、女性425mg/日、耐容上限量3.5g/日とされている。なお、米国農務省のデータベースでは、食品100g中のホスファチジルコリンの含有量は全卵240mg、豚肩ロースの赤身55mg、牛肩ロース赤身86mg、枝豆43mg、ほうれん草18mgなどの記載がある。

https://academic.oup.com/ajcn/advance-article-abstract/doi/10.1093/ajcn/nqz148/5540729?redirectedFrom=fulltext

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