痛みの理解は難しい

痛みは数値化も視覚化もできませんから、他人からはその痛みは推し量る事はできません。

国際疼痛学会(IASP)では痛みを「不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。」と説明しています。個人の経験ということです。これでは他人がいくら頑張ってもその人の痛みがどの程度かなんて分かりませんね。

痛がっているのに仕事の同僚や家族、知人などから大したことないように言われたりするのは大変つらいものだと思います。その言葉がきっかけで更に痛みが強くなることだってあるでしょう。

日本人は我慢を美徳とするところがあるのでしょうか。「昔はそのくらいの痛みでは病院へ行かなかった。」はよく聞く言葉ですが。

痛みに関しては我慢はマイナスになることはあってもプラスになることはありません。痛みはなんとしても急性痛のうちに除痛すべきなのです。(慢性痛は治らないという意味ではないですよ)

痛みは見えないわけですから、痛がっているのに「大したことない」などとひどい言葉を投げかけるのはいかがなものかと思います。

痛みがある方にとってはそれこそ一大事なのですから。

 

高いレベルのストレスは痛みを引き起こしているか?

スウェーデンにて実施された長期間にわたる調査の最新報告によれば、高いレベルで「ストレス」を感じている中年女性のうち40%が筋骨格痛を進行させている。「THE BACK LETTER 2013年8月号より」http://journals.lww.com/backletter/

交感神経の持続的緊張が続くと筋骨格系に痛みを発生させたり増悪させるのは医療関係者の間ではもはや常識です。

こういった事実がもっと一般に広がっていけば痛みの治療はもっと楽になるし、そもそも痛みで悩む方が減るでしょう。早くそんな時代がくれば良いですが・・・。

長期休暇の前後は痛みを出す人が多い

この時期は患者さんが増えます。

・休暇をとっていたら痛くなった

が遠くから来ていたから相手をしていたら痛くなった

・明日から仕事なので用意をしていたら痛くなった

などの理由が多いですが、交感神経の緊張状態が関係しているんですよね。

普段仕事している間は気がはっているので風邪をひいたり痛みを出すことはないのですが、長期休暇に入り気が抜けると体調を崩す。

そんな経験ありませんか。

休みになる度に体調崩す方いますね?

運動器に発生するか上気道に発生するかの違いです。おじいさんおばあさんも大変ですw怪我させちゃいけないし、それが何日にもなると疲れて体調を崩すわけです。

心理社会的要因 = ストレス 交感神経緊張

まあ、そんなこともあるんだ程度に読んでください。

五十肩になるのかな?

群馬県よりお越しのBさん、1ヶ月ほど前より右肩が痛くなってきました。日に日に痛みが強くなっていた所、知人にうちの話を聞いて来たそうです。

健康上腕リズムが極端に悪くなっていました。トリガーポイントもかなりあります。何かストレス不安になっているような事は無いか?と聞きましたら最近ご友人が体調を崩して心配していたとのことです。

極端に症状が強くでている場合、心理社会的因子が強く絡んでいることが多いと思います。

ですが治療してみたらその場で挙がらなかった手がほぼ上がるようになりました。心理社会的因子が強く絡んでいるとその場ではイマイチな反応が多いのですが、こんなこともあります。

後ろに手を回すと少し痛いのが残りましたが、上手くいけばこのまま治療しなくても大丈夫でしょう。しても1,2回かな?

痛みは外力を受けた時や交感神経緊張が続いた場合に発生することが多いんです。ストレスが強い環境にいると痛みを発生しやすい訳です。それが胃に出れば胃潰瘍などになりますし、肩に出れば肩こりや五十肩と言われるわけです。

生理的な機能が障害を起こして発生するわけです。それが内蔵に出るか運動器に出るかはその方のタイプによります。因みに私は運動器に発生しやすいタイプなので調子崩すと腰が痛くなります。自分で治療しますけど。

緊張して下痢したり具合悪くなったことあるでしょう?

けっこう多いんじゃないかな

世の中には脊柱管狭窄症椎間板ヘルニアなど神経を圧迫されて起きると言われている痛みがあります。

ですが、本当に神経を圧迫すると痛みが発生するのでしょうか?実際に痛みを発生させるのは筋肉関節包関節靭帯にある侵害受容器(痛みセンサー)が興奮して痛みを発生させているのではないか?と言われ始めています。

それは生理学では神経を圧迫すると痛みが発生すると証明されていない事があるようです。実際、熊澤孝朗先生や横田敏勝先生は著書の中で健康な神経は圧迫しても引っ張っても痛みは発生しないと述べています。

現に手術して神経への圧迫を取り除いても良くならない方はたくさんいます。先のブログにも書きましたが、足の裏の神経は体重がかかりますが、痛みは発生しません。これは足の裏だけではなく、全身にいえています。神経がそんなに圧迫に弱い器官であれば、世の中痛みや麻痺の方だらけになってしまいますね。もちろん実際はそうではありません。

健常者との比較対照試験や手術をしても1年後の治療成績に保存療法と有意差がないなどの事実や、経過などを見ていると痛みは神経への圧迫では説明がつかないのです。

これらの事を考えると、まだまだ筋筋膜性疼痛症候群(MPS)や軟部組織のセンサーの障害から発生する痛みがほとんど知られていない為に多くの場合、他の病気と間違われている可能性があります。

多くの場合、外力や交感神経の緊張状態が続くことにより皮膚や筋肉などの受容器(センサー)が誤作動を起こし、筋肉を緊張させて痛みセンサーを興奮させることにより痛みは発生します。

痛みの入力が長期間続くと痛みの回路がおかしくなり、痛みの悪循環にはまりこんでなかなか治りにくい慢性痛症になっていきます。

ですから、「なるべく早めに痛みを取る」ことが重要なのです。

椎間板ヘルニアは痛みの原因になりえるか

埼玉県内よりお越しのAさん、4月にぎっくり腰を起こして治らずにいました。段々と左足全体に痛みが発生してきたので近医を受診した所、腰椎椎間板ヘルニアと言われたそうです。

当院受診時、腰の伸展制限があるくらいで神経脱落症状はありませんでした。

本日3回目の治療をしましたが、ほぼ大丈夫な状態です。少し痛みが残っていますが、とれるのも時間の問題でしょう。

Aさん良かったですね。

椎間板ヘルニアは確かにあるのでしょうが、今回はそれが痛みの原因にはなってなかったということですね。いつもの事ですが。

椎間板ヘルニアがあっても痛みやしびれがとれる方はたくさんいます。

腰痛もなにも症状がない方を検査した所、76%の方に椎間板ヘルニアが見つかり、85%に椎間板の変性が見つかったという研究論文もあります。http://1.usa.gov/iN3oKG

年をとると変形や椎間板の変性は普通に見られます。椎間板ヘルニアがあるからといって必ずしも痛みやしびれにつながるわけではありません。

腰痛未経験者67名を対象にMRI検査で腰を調べた結果、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、などの構造の異常はごく一般的な所見であることが判明。http://1.usa.gov/10SgXcQ

椎間板ヘルニアが神経を圧迫して痛みが発生するのでしょうか?足の裏の神経やお尻の神経はどうなるのでしょうか?いつもかなりの重さを受け止めていますが、痛みはでません。

痛みの生理学で有名な熊澤孝朗先生は「健康な神経は圧迫しても痛みは発生しない」と言っています。

また、ゲートコントロール説で有名な生理学者Patric Wallは著書「疼痛学序説」の中でヘルニア神話は終わったと述べています。

痛みへの理解は重要ですよ

お陰様で先月も100名近くの方が紹介でいらっしゃいました。紹介して頂いた患者さんにはこの場を持ちまして再度お礼申し上げますm(__)m

紹介いただけるのは大変嬉しいですし、頑張って期待に応えようと思います。(紹介じゃない方の手を抜くって意味じゃないですよw)

 

さて、本日は痛みへの理解について。

痛みへの理解があるかないかで治療の進み具合が明らかに違います。

やはり痛みの原因を生物学的損傷だと思い込んでいると自分で痛みのスパイラルに陥ってしまうのでしょうか。

不安が強い・痛みの事ばかり考える → プライミング効果 → 痛み増強 → 不安増大 → 痛み増強

動作恐怖が強い → 動かないために筋肉が硬くなる → 痛み増強 → 更なる動作恐怖 → 痛み増強

痛みへの不理解(一度変化した構造は治らないという恐怖) → 治療効果が現れにくい → 治らないと諦める → 医療機関を転々とする → 医療不信 → どんどん治りづらくなる

これらに陥らないようにするためにはやはり自分自身で痛みのメカニズムを理解する必要があります。

痛みのメカニズムを理解する → 恐怖から解き放たれる → 自信を持って動く → 自信がつく → 筋肉が柔らかくなり痛みが軽減する → 治癒

自分自身の痛みがなんなのか知るのはとても重要です。先の記事にも書きましたが、私は痛みの治療は痛みのメカニズムが理解できれば半分は成功だと考えています。後は皮膚・筋・関節の反射機能を正常化して痛みセンサーの興奮を抑えれば痛みはどんどんと引いてく事が多いですよ。侵害受容性疼痛(痛みセンサーの興奮による痛み)に限りますが。

でも多くの方は痛みへの理解がなくても治療して痛みが軽減しますから、それをきっかけにして治るんですよねw

慢性痛症や、医療機関を転々としている方、治療の反応が悪い方は暇な時は時間が許す限り痛みのメカニズムを理解することの重要性を説明しています。しかし細かくは話しません。やはり自分で理解することが重要ですし、細かく話していたら何時間もかかりますからね、診療時間内には無理です。

少しでも皆さんの痛みがとれるように頑張ります。皆さんも頑張りましょう(^^)

夏季休診について

8月12日~15日は休診とさせて頂きます。

16日より平常通り診療していますので、お間違えないようお願いします。

皆さん良い休暇をお過ごしください(^^)

痛くなったら原因を考えてみよう

普通に生活していて痛みが発生したとします。

何が問題だったのでしょう?

痛みや痺れの症状が発生すると大抵の方は医療機関を受診します。そこで構造に異常があればそれのせい、異常が見つからなければ異常なし、心因性などと言われます。

しかし、痛みの原因は構造の異常ではなく、大抵その方の生活の中にあります。

生物学的損傷を痛みの原因とする医学モデルはうまくいかなかったので、現在は生物心理社会的疼痛モデルに移行している最中である事は今まで何度か書きました。

職場での問題や家族の問題、いわゆる心理社会的問題のことですが、大抵皆さんいくつか問題を抱えているものです。これに気づけるか気づけないかが治療の成否を分けたりするのですが、患者さんたちはそこに問題があると思っていないので、話をするタイミングはとても気を使います。初回の治療から劇的に変化する方には話しやすいのですがw毎回そうは行きませんからね。

いろんな医療機関を転々としても良くならない方は痛みを知ることから始めましょう。生物学的損傷を痛みの原因と思い込んでいるうちは解決は難しいでしょう。

色んな医療機関を転々としても変化が無い方は、まずは自分自身をよく見つめてみてはいかがでしょうか?

backache

異常がないのに痛みがある

当院のホームーページには便利な機能が付いていて、どのような検索キーワードで訪れたのか分かるようになっています。便利ですね、つけてもらったのですが使いこなせません(笑)

先日このページを見ていたら「異常がないのに痛みがある」というキーワードで訪れた方がいました。

異常がないのに痛みとは?恐らくレントゲンMRIの画像上の異常の事だと思いますが、レントゲンやMRIなどの静止画の検査は骨折や悪性腫瘍、感染症などの特異的な疾患を鑑別するものです。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症があっても必ず痛みがあるわけではありません。

運動器に発生する痛みはそのほとんどが侵害受容性疼痛といって、痛みセンサーが興奮することにより発生します。痛みセンサーの異常は可視化できません。ですから痛みがあっても画像所見は異常がない事が多いのです。

もうすでにその事を知っている方も多いですが、制度上の問題でなかなかうまく行きませんね。

行政側に制度を変更してもらう必要があると思いますが、まあ期待できないでしょう。

ですから、痛みの難民にならない為には患者さん自身の痛みに対する知識のアップデートが必要になってくるのです。

これはとても重要です。

 

腰痛になったことも足の痛みも経験したことのない健康な方67名を対象にMRI検査で腰を調べた結果、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、椎間板変性、変形性脊椎症などの構造の異常はごく一般的な所見であることが判明した。
http://1.usa.gov/10SgXcQ

新潟がんセンターの整形外科が行なった研究によると、非内包性椎間板ヘルニアは手術をしなくても約8週間で自然に消える事実が判明し、椎間板の手術の年間件数を50%低下させることに成功。
http://p.tl/Nipw

椎間板ヘルニアと診断された強い腰痛と下肢痛を訴える方46人と、年齢、性別、職業などを一致させた症状の無い健康な方46人の腰部椎間板をMRIで比較した結果、健康な方の76%に椎間板ヘルニアが見つかり、85%に椎間板の変性が確認された。http://1.usa.gov/iN3oKG

しつこかった坐骨神経痛

患者さんより治療の感想をいただけました。かなり遠くから治療に来られていたのですが、治ってよかったですね。

お元気そうなお便りいただけてとても嬉しく思います。

 

大嶋先生ご無沙汰しております。 お陰様で、あれほど痛かった左足のお尻からつま先に掛けての痛みもすっかり忘れて、毎日楽しく仕事が出来ております。

インターネットでの神の手のフレーズに惹かれ、あまりの痛みの辛さに、すがる思いで当院を訪ねました。

とても親切丁寧でわかりやすい内容のHPでありましたので、それほどの不安もなく向かうことが出来ました。
清潔感あふれる院内にまず安心しました。
少々遠方よりの通院だったため、2~3週間に一度の通院で良いというところも施術時間の短さもとても助かりました。
そして何より先の見えない痛みに悩まされていた私にとって、確か先生は5回の通院で良くなりますよと言ってくださり、とても嬉しくなりました。

結果7回の通院で痛みがほとんどなくなりました。
腰に優しく触れてくださるだけの不思議な施術はまさに神の手だと思います。
もしもまた痛くなっても先生のところに行けば大丈夫!!と思うととても安心です。
どうぞお元気でご活躍ください。 本当にありがとうございました。

長引いた痛みを早く改善するには

痛みは国際疼痛学会により「不快な感覚性、情動性の体験」と定義されています。要するに痛みは個人の体験なのです。

今までは骨の変形や神経への圧迫で痛みを説明してきました。「損傷モデル」です。しかし、椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症などは症状の無い健常人にも見られ(変形性関節症なども一緒)、また運動療法や徒手療法でも症状が消失する事から段々と損傷モデルでは説明ができなくなってきました。

そこで現れたのが「生物心理社会的疼痛モデル」です。これは痛みの原因を肩や腰などの局所にだけ求めるのではなく、より全人的にみようとするものです。現在は「損傷モデル」から「生物心理社会的疼痛モデル」へ考え方が移行している最中ですから、知らない方が多いのは仕方がありません。日本でも昨年末腰痛診断ガイドラインを策定しました。腰痛の多くにストレスが関与していて、危険信号レッドフラッグ)が無い限り大半は画像検査不要と記されています。

日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2703B_X20C13A3000000/

南江堂 http://www.nankodo.co.jp/wasyo/search/syo_syosai.asp?T_PRODUCTNO=2269421

日経メディカルオンライン http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t190/201212/528240.html

ヨミドクター http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=72012

痛みの治療で問題になるのは急性痛なのか、それとも痛みの回路が歪んでしまった慢性痛症なのかです。急性痛ならばそんなに苦労無く治っていく場合がほとんどですが、痛みの入力が長期に渡り痛みの回路が歪んでしまい、徒手療法などで反応が悪い場合は、色々な治療法を組み合わせて行う必要がでてきます。薬物療法や運動療法、マッサージ、認知行動療法読書療法などです。

例えばですが、痛みを抱えた方がヘルニアだと思い込んで治療を受けるのと、ヘルニアは痛みと関係ない、侵害受容器痛みセンサー)が興奮している痛みなんだと前向きに考え治療を受けるのでは治療の効果は変わってきます。これは被験者にポジティブな思考やネガティブな思考をさせて治療経過を見る実験でも効果が示されております。

ですから、皆さんも生物学的損傷を痛みの原因としていた「損傷モデル」からより全人的に痛みの原因を求める「生物心理社会的疼痛モデル」へと知識をアップデートしませんか。知識をアップデートしただけで痛みが取れる方がいます。お金もそんなにかかりませんし、読書で治れば安上がりですねw

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